退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

柿食えば、、、三度の食事

usagi

 「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」.
 特にこの俳句で知られる明治の俳人歌人、正岡子規の『仰臥漫録』(岩波文庫)を読みました。


 子規は34才の若さで亡くなっています。結核と派生した脊椎カリエスを患い、晩年の三年間は、寝返りも打てず、仰向きに寝た切り。当時の結核は不治の病でしたから、迫りくる死を見つめながら,これを著わしました。


 内容は日々の三度の食事の献立、句作と来客の話ばかり。当然、体力をつける目的もあってのことか、大変食べることにこだわり、また実に健啖家でもあります。亡くなる一年まえの、一日に食べたものの日記を、そのまま書き写しますと、こうです。


(明治)三十四年九月十三日 曇
朝飯  ぬく飯三碗 佃煮 梅干 牛乳五勺(紅茶入り)菓子パン二つ    便通
午飯  粥三碗 堅魚(かつお)のさしみ みそ汁一椀 梨一つ 林檎一つ ぶどう一房


間食  桃のかんづめ三個 牛乳五勺(紅茶入り) 菓子パン1つ 煎餅一枚
夕飯  稲荷鮨四個 湯漬半碗 せいごと昆布の汁 昼のさしみ残り 焼せいご 佃煮 葡                       萄 林檎


 大変な重病です。ふつうなら、食う寝る排するだけの体調のはずですが、世話する妹に紙を持たせて書いたといいますから、子規を突き動かす創作意欲のすごさに感嘆します。


 偉大な子規にならって 凡人のぼくの、ある日の三度の食事を書いてみます。こんな具合です。ぼくにはいろんな持病があります。


朝飯  リンゴ3片、トマト3片 バナナ三分の二本 牛乳マグカップ1(きな粉入り)コーヒー1 降圧剤1錠 前立腺肥大症剤3錠 痛風剤1錠 高脂血症剤1錠 整腸剤1錠 同1服


昼飯  ぬく飯一碗(生卵かけ) スクランブルエッグ ほうれん草、大根おろし(シラスかけ) ミカン1個 茶 整腸剤1錠 同1服


間食  アイスクリーム1 トマトジュースコップ1


夕飯  鯛さしみ 鯛頭アラ炊き ゆり根卵とじ ほうれん草 缶ビール1 焼酎湯割り3杯 降圧剤1錠 整腸剤1錠 同1服


食後  焼酎湯割り1杯 ウイスキー水割り1


 大作家の食事と並べても、何の意義もありませんが、まあ、ホームステイ巣ごもりでの座興です。子規のように仰臥していても、俳句が次々とわいてくる柄ではありません。


 子規の食事にはアルコールが出てきません。下戸だったのか、禁じられていたのか。結構甘いものを食されていますが、サイズが不明ながら、ほんとうに大食です。日記の後半には麻痺剤という言葉がよく出てきます。たぶん痛み止めの麻酔剤なんでしょう。苦痛のなか死去前日に辞世の句を三句を残しています。


 それにしても、少年のころ「柿食えば、、」のどこが、いいのか。首をかしげていました。柿を食ったら、なんで鐘が鳴るんや。そこがわからなかった。ミカン食ったら、何が鳴るのや、リンゴやったら、どうなんや。イモを食えば、屁が出る、、、という関係性がないと。そういう理屈でした。


 その点について、すでに「柿食えば」と「鐘が鳴るなり」とのつながりついては、理解できていますけれど、今もって、なんで、この句が教科書に取り上げられるような名句なんや、という気持ちはありますね、


 子規と同郷でもある、あの夏井いつき先生なら、どう言ってるのかな。

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