退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

腹合わせ

 首相のキシダメが、G7主要国を歴訪するまえ、記者会見やほかの場所で,行く目的を話したのが、「腹合わせ」という言葉。


 言わんとしていることは、歴訪国の首脳と5月に広島で開かれるG7の会合に備えて、「根回し」をしてくるという意味らしい。根回しなら、よくわかりますが、「腹合わせ」とは、聞きなれない。


 腹合わせには、グルになる、ひそかに共謀関係をきづく、悪だくみといったニュアンスがありますね。政界では、こんな隠微な言葉を使っているとしたら、いかにもという感じです。


 調べてみると、「腹合わせ」なる言葉は、和裁や印刷などの業界用語が元のようです。表と裏に色合い,生地が異る、いわゆるリバーシブルの帯を腹合わせ帯というらしい。ぼくも「口裏合わせ」や「根回し」は日常的に使っていました。


 現役時代の記憶でいえば、会議が開かれたときは、すでに結論なり、方向性なりは、上層部の根回しで決まっています。率直なご意見を、などと言う誘いに乗って、異見を話すヤツは、場違い、協調性に欠ける、なんにもわかっとらん輩とみられるのが、オチでした。民主的な体裁の会議は、いまも、そんなものだろう。


 さて、キシダメの歴訪の目的ですが、G7の会合が成功したように見せる「口裏合わせ」であることは明白です。ふつうは関係大臣と官僚がちゃんと根回しします。G7首脳が顔を合わせたときは、すでに話はついており、あとは風光を楽しみ、うまいものを食って、記念撮影するだけです。


 それでも首脳が顔を合わせていると、少なくとも、トラブルが起きないだろうと考えられていましたが、いつまでもロシアや中国を抜きにした、社交パーティはもう意味がなくなっていると思えます。もともとG7は、世界の経済論議をする目的でしたが、いまは変質してしまった。中国抜きで経済論議でもないだろうから。


 キシダメ外遊の本当の狙いは、歴訪国の最後にバイデン大統領と会談できるように設定してあることです。ここで国民の意向をほったらかしてまとめた軍事拡張路線の成果をバイデンに報告し、ご機嫌取りをする一方、「完全に、徹底的に、核の傘の保障」を再確認したわけです。案の定、ロシアの有力者が「原爆を落とした米国に謝罪を求めないキシダは腹切りものだ」と米国べったりを揶揄していました。


  キシダメは、どれほど先の大戦の教訓を学んでいるのか、心もとない。被爆地広島を選挙区(生まれも育ちも東京)にしながら、核の傘に依存する矛盾に気が付いているのか。日本の国防を、米軍の二軍となって守るという発想が、そもそもおかしい。武力で他国を脅したり、制圧したりする国になってはいけない。


 軍事に限って言えば、備えあれば、憂いなしは、時代遅れです。年間30数発のミサイルを撃つ北朝鮮、ウクライナ戦争をやめない核保有国ロシアが、世界から信頼され、尊敬されていますか。「核は使えない兵器」であることが自明となっています。


 相手国との関係で、双方が得をしたと思えるウィンウィンが、外交の妙手です。十数年まえに国内総生産(GDP)を中国に抜かれていらい、日本は生きる活路を中国に求めなければ成り立たなくなっています。インバウンドにしろ、貿易量にしろ、アメリカをしのぐ国益を中国から得ています。こういう近隣国をいたずらに敵視し、その脅威を煽るのは、どういう魂胆なのか。


 中国が台湾を侵攻するかもとか、南西諸島に上陸する恐れがあるとか、中国を「仮想敵国」に仕立てて、その脅威を煽る政治家やマスコミが盛んですが、「脅威」を煽って、兵器購入や軍事予算増を行うのは、臨戦への常道です


 戦後、公式には一人の戦死者も出していない、この国の行方を、バイデンのパシリ(使いはしり)みたいな自公政権で変えられては、国民は泣くに泣けない。春の地方選挙も、今年行われると予想される総選挙でも、選挙の争点は「反戦」だと思います。有権者の心構えについての「腹合わせ」は、「反戦」でまとまりましょう。

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