がん患者の父

娘が膵臓がんになった。まさかまさか、痛恨の極みです。

腫瘍マーカー

娘の容体に一喜一憂しているのは、あまり意味がないと以前に書きましたが、素人には病者のコンディションが、どの程度にいいのか、悪いのか、見た目だけでは判断がつきかねます。そこで、つい数値で表示される結果にすがってしまいがちです。


いきなり私事の余談ですが、二か月に一回やっている血液と尿検査による検診や、三か月に一回やっている前立腺肥大を診る検査でも、医師は上がってきた検査表を眺めて、一言ポツリと言うだけのことが多い。一時間待ち、一分にも満たない診察です。


患者の顔も見ずに検査結果表だけを眺める医師。もう見慣れた外来診察室の風景で、私事の体験でもいまどき聴診器を当てられたりすることは皆無に近い。


それでも、いつも聴診器を首から吊るしている白衣の者は、いわば医療現場のヒエラルキーの上位者を表すツールになっているのかもしれない。


抗がん剤の投与は、その前の血液検査で白血球などの数値が基準を超えていなければ、処置できません。あわせて腫瘍マーカーの数値も判断材料の一つです。腫瘍マーカーはがんの部位ごとに、いろいろな種類があることを知りました。


膵臓がんにはCA19-9、CA-125、SLX、STNとか、正式名称か略式名称なのかわかりませんが、たくさんあって娘に採用されているのは、CA19-9というものです。これの基準値が37(単位は知りません)で、数値が高いほど病状が悪く、低いほど、いいらしい。


娘によると、5回目の高ガン剤投与の際、はじめて基準値を下回り、36になったという。これはうれしい便りでした。画像検査でも、小さくなったことが確認され、それを病理検査の数値が裏付けていると、普通に考えることができます。


もっとも「がん情報センター」などの広報資料によれば、腫瘍マーカーの信頼度は確立されていないようです。まず、がん発症を見る早期発見には役立たないらしい。


ある程度、進行したがんの進行度合いや、抗がん剤投与の治療効果や術後の経過観察などには、一定の目安になりうる、というもののようだ。もっと臨床実験を重ねて、精度の高いマーカーが確立されることが待たれます。


結局、検査結果表の数値に振り回されるのは、医師も患者とその家族も同じ、というのがいまどきの医療というわけです。