がん患者の父

娘が膵臓がんになった。まさかまさか、痛恨の極みです。

がんはお金がかるか。

がんに限らず、病気に好き好んでなる者はいません。ですから、その出費は、まったく予期せぬこと、無用の出費というものだから、おカネがかかるという気持ちがいっそう強く感じられます。


治療費ばかりか、食材や料理器具や身の回りの品々まで養生向けに配慮しなければならないし、一方で保育士の仕事も失くしたので、生活が変わってしました。


娘もまだ50.とても大病にかかるなんて想像さえしなかったから、とうてい沈着冷静であるわけがない。副作用ということで、脱毛が始まったとたん、医療用のかつら、いわゆるウィッグの必要性を感じたらしい。


そのあげく、近隣の医療センター内にある、その種のかつらを扱う店で、かつらを買ったのだが、値段を聞いて驚いた。23万円だという。脱毛の恐怖、女ごころ、焦りや不安、錯綜する心情は、よくわかるけれど、いかにも高い買い物だったような気がします。


この手のものは素材やデザイン等でピンからキリまであることはわかりますが、その後の脱毛の進行状態からして、ほとんど着用していないらしい。


使わないでいられることが、望ましいのだが、使わないでもいいかもしれないものに、あわてて買ってしまった。気持ちがよくわかるだけに不憫であります。


寒い季節と重なったせいもあって、毛糸の帽子をかぶっている方が多い。老いも若きも、目深に暖かそうな帽子をかぶって街を歩く姿は、見慣れた光景です。


いまの医療制度の中には「高額療養費制度」というのがあり、対象者(配偶者)の年収に応じて、割合は異なりますが、どのような高額治療費でも上限が設けられています。むろん保険適用の標準治療です。


当方は年金暮らしの老人ですが、近年、脊柱管狭窄症の手術や腸閉塞のため2.3週間の入院を繰り返しましたが、支払いが9万円を超えることはなかった。標準治療の範囲内なら、保険会社はこの制度があることにあまり触れませんが、じっさいには高額の医療傷病保険料をかける必要ないくらい助かります。


最初、手術と入院を2週間ほどした娘は、とうぜん「高額療養費制度」を申請していますが、それでも最初は16万7千円強かかった。4度目の払いから7万円強に収まっているという。


がん治療には”治験中””だという保険適用外の「先端治療」がいろいろあります。これは名前とはうらはらにまだ科学的根拠が確立されていないという保険適用外の治療法のこと。


とくに小規模の病院なんかでは、民間療法も含めて独自の効用を誇大に宣伝する「先端治療」が数多くあって、高額の治療費を要求するところも数少なくありません。


一方、ややこしい表現ですが、「先進治療」ということで、特定の部位の治療などでは効果の優位性がかなり評価され、一部については保険適用が認められる治療法があります。たとえば、放射線治療の分野で陽子線や重粒子線治療は、そうとう注目されています。


しかし、それらは、まだほとんどのがんには、「標準治療」の枠外であって、その種の治療を実施している数少ない公的な医療センターでも1セット288万円ー300万円と公称しています。


娘は、患部は転移、浸潤しているがんなので、術後の「標準治療」である化学治療をうけており、その効果でがんの部位が小さくなったりすれば、再手術や放射線治療との併用をの道が開かれます。


ワンポイントまで縮小するような治療が進めば、陽子線でも重粒子線治療を受けさせてやりたいと思っています。おカネがかかっても、できることは支援してやりたい。がんは、やはり高くつきます。