がん患者の父

娘が膵臓がんになった。まさかまさか、痛恨の極みです。

アルカリ性食事のすすめ

先日、「がん細胞がすみにくい体づくり」療法でよく知られる京都の「からすま和田クリニック」が開くワークショップへ娘は婿殿と参加してきたと聞きました。


先々月から4週連載された「サンデー毎日」の記事を読んでみると、主宰する和田先生は、京大で消化器内科で長くがん治療に関わったが、その標準治療にいまひとつ欠けているものがあるんではないというのが疑念があり、退官後に自前のクリニックを開いた。


というのは、膨大ながん患者の治療を経験したが、良くなったとみられる患者を送り出しても、その数割の患者が再発を避けられない。なぜそうなるのか?。


そうした実態から、標準治療のほかに何か重要なポイントが必要ではないか。そう考えて、独自の食事を含めた治療法を持つようになったそうだ。


 なぜ再発するのか? 筆者の記事からの受けとめ方でいえば、それは現行の標準治療では見過ごされている患者の生活習慣、食事、体質のなかに、がん細胞を生みやすいことが潜んでいるようなので、それを抑え込み、がんが住めない体づくりをすればいいのではないか。


そのために身体作りの基本である食事を工夫して「がん細胞がイヤがる体」へ改善する、という考えのようです。(誤解していたらお詫びします)。


患者と家族は、標準医療のほかにもワラにもつかむ思いで、いろいろな民間療法を調べたり、試みたりします。ネット上にもアガリスクに着目した星野式、ブロッコリを主体にした済陽式、あるいは昆布の粘り成分、フコイダンを評価するなど、さまざまな食事療法が、その効用を競っています。


その一方で、そうした療法でがんが治癒するなら、やれノーベル賞!?もんだと疑問視して、やれエセ医学、やれカネ儲けという声が少なくなく、判断の材料を持たない患者を大いに惑わされています。


和田クリニックの講習会では、体をアルカリ性にすることが勧められています。がん細胞は酸性を好み、アルカリ性を嫌うと言います。がん細胞は常温が好みで、高熱を嫌がるとの観点から温熱療法が生まれています。


ですから、軽いヨガの練習のあと、門下の先生の講話のなかで塩分、糖分を控え、魚や肉も食べず、玄米食と野菜、ニンジンジュースに重点を置いた三度の食事法を推奨されたといいます。普通の人にとっては、そうとう味気ない食事の感じ。


実際、昼食で出されたのは、豆をかけた玄米食カレー、皿盛の緑黄野菜サラダ、ニンジンジュースだったそうで、玄米食カレ―は、なんともなじみにくい味だったと娘は話しています。


とはいえ、食事が大切であることは娘も気づいており、がん発覚いらい低速ジューサーで絞ったニンジンジュースの効用は知人からもすすめられて飲んでいます。知人の場合、乳がんでニンジンジュースを日に2リットル、顔は黄色くなるほど飲んでよくなり、数年後も再発していないそうです。


最近は和田クリニックが勧める「シイタケ出汁で炊く玄米食」も実行しています。シイタケを一晩、水につけた出汁で玄米を炊き上げるご飯。筆者も試してみましたが、これは、旨味がついて美味しかった。


和田先生の勧める治療法は一定の成果を上げて、評判がよく、患者が全国から訪れるという隆盛ぶりです。もちろん、異端のやり方だと批判する立場の声もあるようですが、すくなくとも、がん患者の弱みにつけこむやらずぼったくりの一部の民間療法なんかとは違っています。


がん患者といっても症状の部位や進行度、本人の生育環境や体質など、さまざまですから、一つのやり方で誰も彼れもがうまく行くとは思いませんが、願わくば、娘は、この食事法でがん細胞が増殖しないことを、ほんとうに本当に祈っています。



マーカー上昇

心配していた体調の変化が、じっさいに裏付けられて、ショックをうけています。11回目の抗がん剤投与に通院した娘。薬剤投与まえの検査で腫瘍マーカーが、基準値の約9倍にもなる高いものでした。


膵臓がんのマーカーに使われるCA19-9。過去、投与しはじめたころ、一度だけ基準値をわずかに下回ったことがありました。やっぱり、薬が効いているのだと大喜びをしたことでしたが、その後は横ばい、そして、前々回から、基準値を超えだした。


マーカーの数値に一喜一憂するものではないとわかっていても、なかなかそうはいかない。素人目にも、薬の効きが悪くなった。がんの病変部に耐性ができたきたと考えられます。


もともと膵がんのステージⅣという末期がんにとって、寛解の道はない。できることは、できるだけ長く症状を和らげて延命をはかることだと理解していても、こんなに早く耐性がでたことに失望します。


医師の話では、近くCT検査で病変部の様子を確かめたうえ、これまでのフォルフィリノックス治療から、ゲムシタビン(ジェムザール)+ナブパクリタキセル(アブラキサン)併用療法に切り替える方針だそうです。


国立がん情報センターのページをみても、推奨されている治療法のようです。効き目については、どちらも似たようなものらしく、フォルフィリノックスの方が、新しく開発され副作用が小さく、それだけ患者にやさしいと言われているらしい。


以前、セカンドオピニオンを訪ねた時の医師は、アブラキサンとTS-1の併用という手もありますが、すでにフォルフィリノックスを使い始めているのなら、それでもいいと言っていた。


そのモノ言いには、アブラキサンとTS-1の併用で臨床実験をやってみてもいいが、他の薬剤を取り込んだ以上、もはや”正しい”効果が測定できないとのこと。そこには薬剤の効果を検証したいとする医師の立場がありありと見て取れています。医師の立場もわからないではないが、露骨に患者を研究対象として優先するような言動を見せられたようで、不愉快だった。


薬の効果というのは、単に薬理的なものだけでなく、患者の病状や体質などとの相性もあるらしい。いまはもう、切り替えられる予定の薬剤と娘がうまくマッチングすることを願うばかりです。





変調が続きます。

10回目の抗がん剤投与のあと、娘はしばらくは小康状態というか、安定状態にいるとおもっていたら、姉が先日見舞ってからの報告を聞いて、ドキンと胸に響きました。


いつもなら、火曜日に投与すると、金曜日くらいまで副作用のつらさが、いろいろなかたちで現れるのですが、今回はその週を開けても、まだ下痢が続き、食欲もすっかり落ちていたという。


下痢が止まった翌日、姉と買い物に出た。家電量販店で調理家電を下見したあと、パスタを食べて、百貨店内を歩いていたとき、急に気分が悪くなり、吐き気をこらえてベンチで長めの休憩。おさまったところで、姉は、娘の暮す最寄り駅まで付き添って戻ったそうです。


食欲が落ちているので、体も痩せてきた。可哀そうなほど、痩せが目立ってきたと姉の話がつらい。いよいよ抗がん剤に耐性ができてしまい、効きが衰えてきたのかもしれない。


三度の食事にいま評判の「からすま和田クリニック」の和田医師が勧める「しいたけ玄米食」(しいたけを一夜漬けしただし汁で玄米を炊くごはん。がん細胞の環境周辺をアルカリ性にすることで増殖を抑えることができるという)を取り入れて、がんばっているのだが、、、。


数多くのがん闘病記を読むと、抗がん剤の耐性がきて、別の抗がん剤に切り替えても、いずれ再び耐性がくる。そのころが、もう化学治療の限界らしく、そうなるともはや緩和ケアに移行せざるを得ないようだ。


ある人には効き、ある人にはさっぱり効かないとされる民間療法、代替療法についてもエビデンス(科学的根拠)がないと軽くみなされています。医師も勧めませんし、患者サイドも二の足を踏みます。


患者サイドにすれば、治療の選択肢が多ければ多いほど、助かります。民間医療の側も、軽視されるばかりでなく、かくかくしかじかのエビデンスがあると明快な反論でもって、効用を主張してほしいものです。


手術不可能、転移が複数あり、放射線治療も難しい。そんな局面からはじまった娘の闘病
を支えてくれるがん治療のレベルが現代にはないことが悔やまれます。


併用治療として、この欄の読者の方にも勧められた温熱療法を考えましたが、主治医も別の医師も効果に対して消極的な見解でしたので、見送っています。本人はむろん家族がいたたまれない、苦しい病気です。