退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

勧誘商法?

 「あなた様の本を電子書籍化しませんか」


 突然、若い女性の声で電話がかかってきました。おっ、またか。また、あの手のお誘いかと身構える感じになります。


 過去にいくつかの本を商業出版したことがありますので、こういう企画の提案が、たぶん間違ってだろうが、舞い込むことがあります。ちゃんとした出版社だとは思いますが、あまり聞きなれない会社から、藪から棒のような申し出です。


 複数の出版社からとはいえ、おおむね申し出のかたちはそっくり、こんな展開です。


1) 国立国会図書館であなた様の本を見つけて読ませてもらいました。
2) 題材といい,内容が素晴らしい。観察力、表現力とも斬新で、感動しました。
3) 私だけではもったいない。もっと多くの読者に読んでいただきたいと思いました。
   そこでですね、、、、。


 明らかに身に余る「褒め褒め商法」じゃないですか。そこでですね、、、の次は、二つの流れに分かれます。


A) いま注目を集めている電子書籍化することで、簡単に読者層を増やすことが可能です。
  新たな読者を獲得し、かつ実益があります。


B)大手新聞社掲載の読書特集を計画していますので、自著の広告を打ちませんか。〇〇万部数があり、多くの読者の目に触れる機会を提供します。販売促進につながります。


 何らかの作品を自費出版した人たちを狙い打ちしているらしい。最初の「殺し文句」は「国立国会図書館で見つけた」です。これで出版事情に慣れない人は、そうとう舞い上がるらしい。そんな権威ある図書館に自分の作品がある!、それを、わざわざ探して見つけてくれた!


 実は国立国会図書館は、国内で出版されるすべての印刷物などを収集、保存する唯一の法定納本図書館ですので、内容不問で、作者を問わず、だれのものでも印刷物(CDなど電子版も含む)を収蔵することになっているのです。特にありがたがることはないのです。


 電子書籍化は、アマゾンキンドルが知られていますが、これは器用な人なら自分で無料で書籍化できます。そうしたやり方で出版している友人は、「売れませんよ」といいます。 


残念ながら、電子書籍はまだ一般的ではなく、ネット上でも売れるのは、消息通によれば「漫画かエロ本」とあります。


 新聞への広告掲載は、一定の読書家の目に触れます。しかし〇〇万部の部数を誇るとある新聞社の名前は、全国紙最下位の部数紙です。とうてい、そんな部数はありません。なによりも著者が自作を広告するというような商慣習は聞いたことがありません。


 電子書籍化も広告掲載への申し出も、ふつうの営業手段かもしれませんが、ヨイショ過剰、無知に乗じた権威悪用、誇大誇張といった点が目立ち、悪しき勧誘商法に近いとしか、ぼくには思えませんね。


なかには、電話ではなくて、速達が来たことがあります。何事ならんやと開ければ,先述したような褒め褒め文がならんだいるうえ、追っかけるように電話がかかってきます。手の込んだサプライズ商法です。


 ちなみに肝心の費用ですが、広告掲載費は、はがき半分くらいのスペースで20数万円くらい。電子書籍化は,工程の段階や発行部数、装丁などによってちがいますが、文字起こしから始めると、約21万円と言ってます。


 試しに明細書を送ってくれといいますと、ちゃんと詳細な明細書が届きましたから、アベよりはずっと誠実です。


 世間には、自分史をはじめ、個人的な生き方、成功ものがたり、苦労経験談、詩歌管弦のたしなみを世に著わしてみたいと思う人々がたくさんおられます。有料で希望すればなんでも出版を引き受けてくれる自費出版社があります。


 一般の著名な出版社でも制作部門を設けたり,子会社で自費出版を請け負うところがいっぱいできています。よほど印刷物に残したいと考える人が多いのかな。「爺ちゃんの青春はこうだった」「ばあちゃんの俳句集よ」と手渡す光景が目に浮かびます。


 そうした風潮に乗って、過大な追加費用を取ったり、途中で破産したり、約束とは全然違う装丁、紙質、ずさんな編集など約束を守らぬところも多々あり、国民生活センターにトラブルが持ち込まれる例があるようです。


 記念に一冊を、貴方の想いを形にしては、子や孫に生きた証を、、、、いろいろな営業トークで高齢者や趣味人たちの素朴な思いを狙っている業界があります。昨今は、面白いブログですね、電子書籍化されませんかとのお誘いがあるそうですので、お気をつけて。

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