退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

早寝早起き

 「年寄りは早寝早起き」。
  俗にそう言われていますが、ぼくには「それは当たらない」(ガースふうに)。


 退職してから、用がないことが多いので、好きなように寝ては、起きています。規則正しく、物事は整理整頓、言説はメリハリつけて、というようなことには不向きなタチです。言いかえれば、自由がいちばんです。


 中学校の運動会の行進練習中、教師が血相変えて飛んできて、突き飛ばされたことがあります。「背中を丸めて歩くな」と怒っていました。ぼくは「この炎天下、いつまでグルグル歩くバカな練習するんや」。内心思ってました。集団行動、右向け右ッ嫌いが一層深まりました。


 よく子どもにスズメさんのように早起きしましょうというお母さんがいますが、あれは誤魔化しです。スズメに限らず,たいがいの鳥は、冬なら午後4時過ぎ、夏でも午後7時には寝ています。こんなに早く寝ていることを無視して、早起きを奨励するのは騙しの一手です。


 で、本題ですが、という程のこともありませんが、ぼくは夜は零時前後まで起きていて、朝は10時過ぎまで寝ています。たまには正午ごろまで寝ていますが、さすがに連れ合いが心配して部屋をのぞきに来ます。「息してるのかな」と言います。


 なんで、それほど眠れるのか。自由な気分でいるほかに、じつは持病があるからです。前立腺肥大症です。この病気の一大特徴というのは、頻尿です。一時間半から二時間くらいでトイレに行きたくなります。さしせまった尿意感は我慢が効かないのです。


 電車に乗るのも、バスツアーに行くのも、教室で何事かを学ぶにしろ、この尿意感の虜になります。夜間、寝ていても、トイレ通いは欠かせません。いまは三種類の薬を飲んではいますが、それでも約八時間くらいのなかで3回はトイレへ行きます。 


 寒夜に渋々ベッドを抜け出す情けなさは、この病気を患っていない人には、ましてや女性にはとうてい理解できない苦痛です。生きるって、厄介なことを抱えるなあ。ため息吐息です。


 一度目を覚ますと、すぐ眠れるわけではありません。やむなく、と言い訳しつつ導眠剤の代わりにウイスキーや焼酎を飲むこともあります。ですから人並み外れて寝坊しているように見えても、実質は八時間程度なんです。それも切れ\切れの時間のトータルです。


「老人は早寝早起」というのは、おそらく「人生五十年」のころ言い出したに違いない。。百歳さんがゴロゴロいる時代になった現在、「あるデータでは、排尿障害や合併症を伴わないために特に治療を必要としない人も含めると、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳で90%の人に前立腺の肥大はみられるようになる」(医療記事からの引用)


 というわけで、れっきとした高齢化時代の症状なんです。男性諸君は、年取れば避けられない道のようです。


 この国の人たちは、早起きはいいことだ、早起きを徳目のように奨励する傾向があります。朝に霜を踏み、夕べに星を仰ぎてと。二宮金次郎は本を読みながら柴を運んでいました。


 おなじみの水戸黄門さんも「水戸黄門光圀公九ケ条禁書」によると、「苦は楽のタネ、楽は苦のタネと知るべし。朝寝すべからず 話の長座すべからざる事」と朝寝坊を戒めています。思うに、人力だけがエネルギー源のころは、勤労に駆り立てることしか財を生まなかったからでしょう。


 人は何時間くらい眠ればいいのか。大塚製薬の「睡眠リズムラボ」によれば以下の通り。
10才まで  8-9時間       15才まで  約8時間
25才まで 約7時間       45才まで  約6・5時間
65才以上は 約6-7時間


 持病持ちの睡眠は「三年寝太郎」のようには寝ておれず、トイレ通いの前後にしょっちゅう夢を見ています。尿意感とともに眠りが浅くなり、そこで種々様々な夢を見ます。日常の見聞や過去のこと、すべて「夢の途中」でトイレ行きです。そして「夢の続き」を見ることもあります。


 五輪の聖火リレーをニュースで見た夜は、いい夢をみました。


 「アベやガースー、モリやニカイが、沿道にコロナ禍をまき散らしながら、トーチを掲げてよろよろ走っては、つまずき、つまずきした揚げ句、中止、中止と息を切らして叫び、その場にしゃがみ込んだ」


 そんな夢を見ました。夢は裏切らない。正夢になるにちがいありません。「世界に国民の健康と安全を守った証」として、やっと「五輪開催中止」にこぎつけるでしょう。

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