退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

もつ鍋

 久しぶりに思いついて、夕飯に「もつ鍋」を提案、連れ合いと車で市場へ買い物に行きました。


 いまどきのモールでもなく、スーパーでもなく、「市場」を名乗るところがあります。生鮮食料品の「ドンキ」みたいで、ところ狭しと肉魚菜乾物缶詰瓶詰袋もの等が並べられており、買い物客は肩をふれあい、通路を譲り合っての混雑です。


 大阪市内で暮らした子どものころ、「公設市場」という小売店がひとまとめに入っている小売り施設があって、そこへ行くと、たいていの物が間に合いました。ああいうのは、ダイエーさんの登場につれて、駆逐されたのにちがいありません。茶葉屋さんに可愛い同級生が、たまに手伝いをしていましたね。


 さて、もつ鍋にする肉ですが、ショーケースの中にミノやハツが並んでいました。ふと振り返ると、低い冷凍台のなかにも「もつ鍋用」とレッテルを張ったパックをみつけ、「これでいいよ」と即決、200グラム 590円、アメリカ産とあります。


 もつ鍋具材は牛のシマチョウ(テッチャンとも、大腸)とコプチャン(小腸)が主役。コテッチャンというのは、コプチャンの商品名(念のため)。もちろん豚の内臓もあります。焼き肉屋で「ホルモン焼き」とあるのは、この牛豚の内臓全般と部位をさしています。


 もつ鍋といえば、福岡県博多の郷土料理でしたが、80年代後半から、じりじり人気が広がりはじめ、単身赴任していた広島でも盛況でした。よく仕事先の人と鍋を囲みました。あの頃、お世話になった書家の訃報記事がさきごろ載ってました。合掌。


 うまくて、栄養満点で安く、もちろんアルコールとも相性よいものですから、まさに単身者の夜の友でしたね。たしか90年代はじめには東京に進出、全国的に爆発的なブームになり、流行語大賞を受賞したほどでした。


 また横道にそれました。料理法は簡単です。醤油味なら、醤油、鶏がらスープ、味醂または酒、ニンニクなどで出汁を調え、小口切りしたシマチョウを煮ます。定番の野菜は白菜、もやし、それにニラが欠かせません。ゴボウのささがきがあれば、ぜひ入れたい。コクが出ます。お好みで鷹の爪やトウガラシも。




 久しぶりのもつ鍋はおいしかった。十分満足でした。シマチョウの独特のうまみ、トロトロの表面とコリコリした中身の食感がよかった。野菜類にも味が染みわたり、いくらでも食べられます。ここまででお腹いっぱい。店内なら本来ここで、〆に中華そばやうどんを投入するのが、”正しい食べ方”ですが、老体夫婦では、もう無理、ムリ。


外はコロナ
内でもつ鍋
腹鼓打つタヌキとウサギ


 と言った老夫婦の夕飯でしたが、やっぱし、タヌキはマズイか。改め、


腹鼓打つ山の神とウサギ


 翌日の昼ごはんは、この残りスープを味加減して卵とじの雑炊を作ってもらいました。これも絶品でした。ふぐ鍋、カニ鍋、もつ鍋のあとの雑炊を「ニッポン三大雑炊」と名づけたいと思いましたね。

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