退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

家の化粧直し

 「そろそろですね。だいぶ汚れが目立ちます」と昨秋、現れたのは大手宅建メーカー関連の中年のリフォーム・アドバイザーさん。


 築30年の我が家の定期検査に来たアドバイザーさんは、潜望鏡のように伸びるカメラ付き
望遠鏡?で屋根や二階の外壁を観察し、写真撮影しています。


「屋根は、少し浮いているところやクギの緩みが見られます。壁はチョーキングといって、指で触ると、粉がつくところがあります。まだクラッカー(亀裂)はないです。屋根の張り替えと塗装ですがが、早く手を打った方がいいでしょう」


 家主(ぼくのこと)は朝に9錠,夕に5錠の薬剤を服用し、二、三カ月ごとに健診で生かされた身ですから、それの住む家も相当傷んでいるのかもしれない。しかし、外壁塗装は10年ほど前にやっているのです。少し早すぎるのでは、と感想を述べるも、アドバイザーさんは、「ざっと改装費用は300万円くらいかな」と、さらりと話しています。エッ、300万円!!。


 我が家は、スレート葺き二階建て6DK。ふだんは一階の居間、掘りごたつのある和室で暮らしています。屋根なんか見たことがありませんので、どんな傷み具合か、見当もつきません。外壁は、言われてみれば、北側の高いところは多少薄汚れているかな、と思う程度。


 一週間後、アドバイザーさんが再びやってきて、正式な見積書を見せてくれた。先に撮った写真も数葉添えてある。一か所、スレート葺きに歪み、二、三か所小さい窪みがあるけれど、大したことじゃないみたい。実に事細かに屋根と外壁の部位ごとに塗装費の計算してあり、その緻密さに驚きます。さすが大手さん、専門の見積もり設計屋がいるのです。


 そして肝心な見積もり金額ですが、税込み約500万円!!。なんと最初の見積もりより、どーんと増えているじゃないですか。素人目には、そう大事になっていると思わないことに、このリフォーム金額。こりゃ、いかん。いくらなんでも、年金生活者が選ぶべき道じゃーないぞ。


 返事を先送りして、かねてお世話になった不動産屋さんの元営業マンに聞いてみたら、言下に言い切りました。「高い、高すぎる。コマーシャルの俳優のギャラまで面倒みることはない」、「屋根屋も塗装屋も自前で持ってない。下請け、孫請けへ下ろす分まで入っているんや」、「やめとけ、やめとけ」。


 見積書を子細に見れば、足場代が約50万円、物置の一時移動代73、000円。中身を個別に移したら、老夫婦でも動かせる物置移動が、この値段!。足場代も高い。なんでも足場からの墜落事故が多いため、関係法令が改正されて、資材や仕組み、管理者に厳格な設置と解体手順が必要となり,その分、高くなっているそうな。


 そこで、元営業マンさんのお知り合いの個人営業?の屋根屋兼塗装屋さんにハシゴで屋根に上って検査してもらったら、スレートの歪みや窪みはまだまだ簡単に手入れできる、足場代も半分でいい、物置移動、そんなもんカネとれません、とのこと。


 かくして一件落着。大手さんには丁重に断りを入れて、実直そうな屋根屋兼塗装屋さんにお任せすることに。それでも見積もりは約132万円でした。こりゃ、この一年は、かゆをすすって暮らすか。www


 正月明けから、我が家は足場屋さんが、すっぽりパイプの足場と遮蔽幕でカバーしてしまい、うっとしい日々でした。幸い雨天も少なく、塗装工事は屋根屋兼塗装屋さんが、ほとんど一人で行い、順調に二度塗りが完成、15日後に足場も外されました。


 薄汚れたところも、見違えるほどピカピカと艶のある壁と屋根になりました。老い先、もう地震や火事など天変地異はゴメンこうむりたい、リフォームすることはないと信じたいですね。


 教訓その1,リフォームのきっかけを指摘してくれた大手さんには感謝。
 教訓その2,病気の診たてと同じ、セカンド・オピニオンは必要です。
 教訓その3,熟練仕事は、職人さんの方が安くて上手。
 教訓その4,戸建ては維持費がバカにならない。年金生活者には思わぬ落とし穴です。

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