退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

大和魂とやら


長く生きていますが、ぼくは「大和魂」なるものを見たことも、触れたこともありません。


 しかし、この3文字が、戦前は日本人の心をわしづかみした歴史については多少知っています。元は、古来からの「日本人特有の感性」を表現するくらいの言葉でした。


 日本にあるのなら、アメリカには「アメリカ魂」、フランスなら「フランス魂」、ケニヤなら「ケニヤ魂」があっても、おかしくありませんが、聞いたことがありませんね。つまり、国名がつくような「魂」はないのです。あるのは、それがある方が都合がいいと考える一部の勢力です。


 「大和魂」」というけれども、とくに「富国強兵」の明治以降、この言葉は、万世一系の天皇に対する「絶対的な忠誠、忠義心」と同義語とされて、軍国主義とともに日常の国民の精神を縛るものとなりました。


 実体があるわけでありませんので、この言葉は政財界、教育、軍部にとって、それぞれに都合よく利用されました。すべて空虚な精神論だとぼくは思っています。つまり、スポーツの指導者が、よくいう「根性論」と同じです。


「がんばれ、食らいつけ」「死ぬ気でやれ」「本気を出せば、負けることはない」「弱気なのはキモがすわってないからだ」、「自信がないのは、根性が足りないからだ」、「朝から晩まで必死でやれ」、、、いくらでもあります。みなさんも、一つや二つ聞いたことがあるでしょう。


 戦後、廃止になりました「教育勅語」も根性論ですが、具体的な行動をとるように諭している部分だけが、「大和魂」や「根性論」とちがいます。教育勅語は、明治天皇が臣民(国民)に話した体裁をとっています。


「、、、汝ら臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹は仲良く、夫婦は仲むつまじく、友人は互いに信じあい、恭しく己を保ち、博愛をみんなに施し、学問を修め実業を習い、、、、などとあり、教育勅語に賛成する人は、「この、どこが悪いねん!!」と浅はかなことをいいます。しかし、教育勅語の真の狙いは、このあとにあります。


 そうした努力をするのは、「、、、非常事態のときには大義に勇気をふるって国家につくし、そうして天と地とともに無限に続く皇室の運命を翼賛すべきである。、、」。つまり、戦争はじめ非常時には天皇のために一命を投げだせ、と言っているのです。天皇のために「死ぬ覚悟」を日ごろから精進しておけ、と言っているのです。


 当時、逆らうことができない「天皇の名」を借りれば、これほど国民をコントロールする教育はないわけです。政治家、軍部、教育界のリーダーにとっても「使いやすく強力な武器」となり、絶対的価値となりました。


 自公政権は再軍備、戦争の出来る国へまっしぐらですが、次に出てくるのは、国民の表現の自由である言論を「見ざる、聞かざる、言わざる」三猿に追い込む手立てです。政治家や財界人が、国民に精神論、根拠のない叱咤激励を述べ出すと、危険です。「欲しがりません、勝つまでは」、「神国ニッポン」、「鬼畜米英を地獄へ突き落せ」といった、あれです。


 豊かな生活でなくても、闘う武器も食糧もエネルギーがなくても、「大和魂」、「根性論」、「教育勅語」や、そのようなものが、口の端に上がるようになると、後戻りができなくなる風潮がはこびります。


 逆らうと「非国民」とか「村八分あつかい」とか「スパイ」などとみられるからです。この同調圧力は国民を委縮させます。「隣組」が、お上の命令で編成されて、国民が相互監視、密告を奨励しました。


 有権者の皆さん、好戦的な自公政権に歯止めをかけましょう。再軍備も、むなしい精神論も蹴飛ばしましょう。攻めてくるぞ、攻めてくるぞ、といいながら標的になる原発を新・増設する自公政権に愛想づかししましょう。春にある地方選挙から国民の意思をはっきり示したい。


 先の大東亜戦争中、子どもたちも、下記のような写真のような理不尽な環境に追い込まれた。人権蹂躙が、当たり前だった道を繰り返さぬよう、好戦的な政党は排除しましょう。


戦争中、裸で授業を受ける6年生男女(長野)。教師も生徒も裸です。軍国少年、
軍国少女が叩き込まれのが、大和魂であり、天皇のために命を投げ出す覚悟
でした。いまでは,信じられないことが、批判することさえ許されず、大真面目
に行われていたのです。



戦争中、裸で行進する6年生(大阪) 根性を鍛えるために、おそらく炎天下も
寒風吹くなかでも、疲れきるほど、分列行進したのにちがいありません。いまで
体育教師たちは、この軍隊式行進が大好きで、運動会まえにはやらされた経験
があるでしょう。この写真をみていますと、かわいそうで、よくもこんなバカげ
たことがまかり通ったものだと涙が出てきます。



戦争中、地面に伏せて、爆弾を避ける訓練の生徒たち。当時、米機B29から
雨あられと降り注がれた焼夷弾から身を守るためにやり、いまは北朝鮮のミサ
イルから身を守るためにという名目でやっているアラートとそっくり?!
 こんなことより、沿岸の57基も並ぶ原発に着弾したら、どうなるのか
を自公政権は説明すべきです。やるべきは、条理を尽くした外交交渉ではないか。


 先の大戦で体当たり攻撃である、神風特攻隊の創始者で、4000人もの前途有為の若者を死に追いやった大西瀧治郎海軍中将は、負けが込むと、フイリッピン戦線から台湾にいち早く逃亡した人物です。「日本精神の最後の発露は特攻であり特攻によって祖国の難を救い得る」と確信していたという狂気の人物でした。


「日本精神」って、なんですか。エライ人たちは、窮すると「精神論」を持ち出します。エライ人の言い草には、ツバをつけて聞きましょう。そのまえに、こんな人物がエラくならない社会を築きたいものです。


 新年早々、ちょっと怒っています、失礼しました。


(写真はgoogle画像検索から引用しました)

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