退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

「見るのも嫌だ」

 首相のキシデンが、国会で同性婚の法制化について「国民の価値観や家族観が変わる。社会が変わってしまう課題だ」と話した夜、首相秘書官の荒井某が、「見るのも嫌だ」、「隣に住んでいても嫌だ」、そのうえ「秘書官室のみんなも、そう思っている」と記者団に述べました。


 ところが、あまりの批判的な反響にキシデンは荒井某を、あっさり更迭しましたが、荒井某は、キシデンの真意や官邸に流れる空気を具体的に代弁して見せたのでしょう。ほんらいは、荒井某を更迭する前に、キシデンが自分自身をクビにする問題です。


 荒井某の発言は、差別感丸出しが、許されませんが、はしなくも政権の中枢のいる人物たちが時代錯誤というか、江戸時代のようなアタマの持ち主を知って、改めて驚き、あきれました。自公政権は、まるで安物の田舎芝居みたいに出来そこないです。


 荒井某は、キシデンのタマ除けの人身御供されたに過ぎない。同じ秘書官で、長男のショウタロウは、欧州旅行で大使館専用車でお土産買いがバレても、「公務」だったと強弁してかばってもらっています。親子の熱い熱い情愛の場面に観客の涙を誘う田舎芝居の見せ場じゃないですか。哀れなのは、いつも、役人です。舞台から追いやられます。


 さて、キシデンが同性婚について「社会が変わってしまう」と慎重な姿勢を示しながら、内実は、反対を表明しているのですが、同性婚を認めてもらいたい人々は、その「社会が変わってくれること、家族観が変わってくれることを強く望んでいる」のですから、これは真っ向から話がかみ合うはずがないのです。


 (LGBTQの国際的シンボル,レインボーフラッグ  Google画像検索から引用


 同性婚をはじめ性的指向や性自認については、性的少数者とされて、いろいろな立場があります。たとえば
L:レズビアン(女性の同性愛者)
G:ゲイ(男性の同性愛者)
B:バイセクシュアル(両性愛者)
T:トランスジェンダー(生まれたときの性別と心で自認する性別に違和感のある人)
Q  :クイヤーまたはクエチョニング (上の4分類のほか、どちらか自認を迷っている人)


 この性的少数者の分類は、恋愛や性愛がどの方向に向かうか、自分の性をどのように認識しているかという概念です。くわしくは、もっと多様な性意識があるそうです。


 この人たちが、どれくらいいるか。日本では厚労省が行うような公式の統計はありませんが、小規模の研究や民間の調査によると、3.6%から8.9%と幅があります。8.9%とすれば、11人に1人の割合です。微妙な問題ですから精密な数字は出ないかもしれません。


 それでも日本人一億人とすれば、360万人から890万人いるわけで、学級に1,2人はいるわけです。こうした人たちの人権を無視していいということにはなりません。


  LBGTQの実情が、しだいに日の目を見ると、本質的な理解をしているかどうか不明ですが、その量的価値からビジネスチャンスの対象とみて金融機関やサービス業が理解しているようなメッセージを寄せたり、票とみなす政治家も現れてきた感じです。過渡期的現象では、それでもいいと思っています。ともかく社会的に存在が認知されることが大切です。


 ぼくは左利きで、「右利き社会」で暮らす不便を以前のこのブログにも書いた覚えありますが、日本では左利きは6~7%くらい、欧米では10%以上いますから、LGBTQの人たちと似たような割合です。


 左利きは、ぼくの子ども時代と違って、いまは無作法、親のしつけがなっとらんなどの偏見の目で見られることは、ほぼなくなりましたが、、、。もっとも身の回りの道具類は右利き用ばかり、自販機も改札口も面倒なんですよ。


 LBGTQの人たちは、差別や偏見、教育現場、就職、家探し、結婚、子育て、法制度からの受益などで、様々に生きてゆくことの不利益を被っているわけです。心身の障碍者が、かつて偏見と差別に悩まされました。いまも少なからず差別されています。


 皆さんは、手足の不自由な人、先天性の病気に苦しむ人をみて、「見るのもイヤだ」と言えますか。人間を少数派や見た目や、生来の資質で差別してはならないと思います。


 荒井某の発言が、海外にまで大きく報道されたとき、欧米では「日本には家父長制を中心とする伝統的家族観がまだ続いている」と言われました。この伝統的家族観というのは、日本会議や統一教会の主張そのものです。


 同性婚についてみると、G7では日本を除き、合法化しています。
 18年もまえの2005年、カナダが合法化したあと、仏、英、米、伊、独が続いています。いまでは欧州のほとんどの国々、中南米、アフリカでも認めている国々があり、アジアでは2019年、台湾が合法化しています。


 こうした世界の動向からすると、キシデンの自公政権、自民の政治家たちは、まだ大日本帝国時代を生きている化石です。天皇が国家国民を仕切る一大家族の父、そして家族は父親の専制、長男優先、男尊女卑、男女役割固定のもと一糸乱れず、異見異物を寄せつけず堅い綱でつながるもの、と思っているのです。


 結局、自公政権は、G7をまえに、世界に後進性を見せる前に「LBGTQ理解増進法」なるあいまいな法案をなんとか通して、体裁を作りたがっています。しかし、身内の化石のような保守層の反発も気にして、名前だけの骨抜き法案になりそうです。過去も今も、外圧がなければ、自主判断できない自公政権です。


 この問題が,グレテス国連総長の耳に届くと、その報道官は、こう語っています。


事務総長は、嫌悪(ヘイト)に強く反対しており、誰を愛し、誰と一緒にいたいかを理由に誰も差別されてはならない」


 こういう、賢明で、小粋なメッセージを出せる政治家は、自公政権にはいないな。それこそ「見るのもイヤな」ろくでもない奴ばかりですね。


 低投票率が、自公政権を許しています。みんなで投票にいきましょう。









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