退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

転ぶ

 連れ合いの顔の左側に大きな青アザがついています。マスクをしても、はみ出ています。


 困るんだな。ぼくが、まるでDV(家庭内暴力)を働いたみたい。早合点する人がみると、DVじゃないのかと疑うかもしれない。もし、連れ合いが悪意でもって、ぼくに殴られたと言ったとしたら、面倒なことになりますね。”相棒”の出番を連想します。


 老夫婦きりの家庭内の出来事だから、当然、目撃者はいない。こういう状況で、「ぼくがやってない」ことを証明するには、証明のしようがない。最近、死刑囚から無実へ奇跡の復活する人が、相次ぎました。この人たちと比較するのは失礼な話ですが、無実の証明に筆舌に尽くせないご苦労なさったのだと思います。


 ぼくの場合、バタンという音を聴いたとき、TVの前のコタツでウトウトしていたと、証言をしても、目撃者がいないから、真実かどうか、言い逃れをしているのではないかと疑われる余地があります。


 やったことは、やったと証明できますが、やってないことを、やってないと証明するのは、非常に難しい。法律の世界では「悪魔の証明」といって難儀なこととされています。ぼくが、その時、居酒屋にいたというアリバイがあったり、連れ合いが、「私がひっくりかえってケガしたのです」と証言してくれたら、自分がやってないことを証明できます。しかし、連れ合いが、このまま仮に亡くなったとしたら、厄介な”事件”になりそう。まあ、そんなことを考える出来事でした。


 夕飯後、台所で洗い物をすませたころ、突然,バタンとモノが落ちたか、倒れた音がしたので、見に行くと、連れ合いが俯きに倒れていました。驚いて肩を叩いてみましたが、ウンともスンとも反応なし。出血はないが、ちょっとあわてましたね。どうするか、様子を見るか、119番するか。


 台所のマグコップをかいでみると、お酒の匂い。ああ、少し飲んでるな。まあ、ふだんから夕飯時に飲んでいるのは普通のことなので、気に留めてはいませんが、それで倒れるほど酔っぱらっていたか、体調がよくなかったのかな。痛いとか、苦しいとか、何の返事もありませんでした。五分くらいあとに、目を覚ましました。なんで倒れたか、本人は自覚がありません。


 翌日から病院でX線、CT, MRIと検査漬け。結局、やや貧血気味ではないのか、という
あいまいな診断をえて、薬剤処方です。夫婦で同じものを夕食に食べて、ぼくだけが夜中に腹痛、連れ合いはケロリとしていることが、たまにあります。貧血というのも個人差があるようですね。それにしても、いきなりのバタンは、怖い。場所を選んでバタンしろ、というわけにもいかない。


 年寄りが「転ぶ」のは、手足骨折、胸部圧迫骨折、長い養生、寝たきりへの標準コースといいます。倒れる際、とっさに両手で支える機敏さがないため、連れ合いのように顔面ブレーキとなるらしい。地域のフリーペーパーには、毎回、浴室で、路上で、階段から、布団のヘリでスリップ、じゅうたんのふちでスリップ、普通は考えられないような場所で、お年寄りが盛大に転んで、あちこち骨折し救急車をよんでいます。怖い、怖いですね。


 話が変わりますが、最近、 シンジロウの妻、クリステルさんは、電動自転車で転んで、目の横を十数針縫ったという。ご自身がネットで明らかにしています。若くても転ぶのは、危ないな。掲載している写真は、珍しいダブルマスクです。


(google画像検索から引用しました)


 四月から、ヘルメット着用の義務付けが始まっています。自転車業界から表彰されてもおかしくないタイミングでの”啓発事故”です。


 気候変動は「クールでセクシーな問題だ」と訳の分からんことをいったり、「プラスチックは石油から作られているんです、あまり知られていないけど」と発言して、知らないのは、お前だけだとからかわれている二股シンジロウの発言よりは、ずっと説得力があります。身をもって「転ぶ危険」を訴えたクリステルさんは、えらい。

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