退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

犬は犬です

 元日の日航機炎上では、乗客乗員すべてが無事脱出に成功しました。その見事な脱出劇が称賛されていますが、実は二つの命が奪われていました。


 ほかでもない、ペットのイヌ二匹が、貨物室に荷物として預けられていましたが、助けられなかったのです。SNSには、このイヌについて、様々な意見が寄せられています。


  助けてほしかった。
    可哀そう。


 乗客の手荷物として機内に持ち込めるようにするべきだ。
 乗客さえ手荷物を取り出せないのに、別室のイヌまではムリ。
 だいたいイヌを飛行機で運ぶこと自体、おかしい。車や電車で運べばいい。


   整理すると、イヌの救命と、イヌの手荷物化についての、あれやこれやです。救命できなかったことを非難めいたSNSもあります。可哀そうと思うのは、同じ気持ちですが、非難めくのは、ちょっと待て、こうしたケースではペット可愛さのあまり過敏に感情移入するのは、適当でないと思いますね。


 朝夕、小さなイヌを散歩させている人が多いのに驚いているほうです。イヌやネコを家族と同様に可愛がっているのは、ほほえましい。ブログでも生涯の伴侶として犬猫とともにある暮らしを書いている人が実に多い。しかし、山歩きすると、捨てられて野犬になったイヌに吠えたてられて恐怖を感じたことも多々ありました。


 なかには息子夫婦よりもネコに遺産を相続させたいという老女のような”猫可愛がり”する人もいるとネットにありました。ペット愛が嵩じると、ちょっと偏愛ではすまない、常軌を逸した感じの愛情を注ぐ人も少なくないようです。


 (google画像検索から引用。犬猫は〇部分から機内へ。ネットで固定されている)


 さて、日航機のワンちゃんですが、貨物室のバルクと呼ばれる場所で預けられます。トランクなど一般貨物とは別で、空調も効いています。機内と言っても完全に別室ですから、可哀そうだけれど、救命は出来なかったのは、やむえないのではないかと思います。


 炎上機には車椅子の乗客、8人もの赤ちゃんもいたといいます。何を措いても人命優先でしょう。トリアージ(災害時の負傷者治療の優先順位)という観点からも妥当しょう。


 飼い主には犬猫などペットの生涯を最大限に幸せにしてあげる責任と義務がありますが、不測の緊急事態の時に人間と全く平等に扱うのは、やはり難しいのではないか。犬猫も人も
命の大切さに変わりはありませんが、人間と同等と言いきれません。


 犬猫を手荷物で機内に持ち込むというのは、一部の航空会社で一定の条件が守られれば、OKとしているところがあります。犬種とか、体調とか、ゲージにいれるとか、予防注射を接種済みとか。同意書が必要とか。そういう条件が整えば、国内・国際線でもペット同乗OK機があるので、犬猫を同伴したいときは、それを選べばいい。


 しかし、それでも炎上事故のような場合、手荷物を持ちださないのが原則ですから、いっしょに脱出シューターを滑るわけにはいかないだろう。手荷物は手荷物です。イヌより後回しされた人間が、必ずや怒るだろう。


 しかし、イヌでなく機内にネコがいると、うちの孫娘のようにネコ・アレルギーの持ち主は、みるみる顔面が発疹、赤く腫れあがってしまいそうです。隣席にネコを抱く客が来たら、どうすればいいのかな。


 犬猫の匂いが苦手な人もいます。国内線なら二、三時間の飛行ですが、海外線なら長時間です。匂いどころか糞をするし、エサも食べる、吠えないまでも泣く場合もあるだろう。世の中は犬猫好き人ばかりと限らない。そう思うと、やはり、貨物室バルクが妥当だ思います。


 ペットについては、いろいろな寄り添い方があります。キリスト教徒の多い欧米人のなかには、心(魂)があるのは人間だけと考えています。他の生き物や草や木には魂はないとしています。他の生き物(たとえば犬猫)が死ぬと深く悲しみはしますものの、ペットロスは深くないように思われます。簡単に言えば、モノだからです。


 こんな例もあります。カトリック信者の作家、遠藤周作のエッセイに、若くしてフランス留学した際。聖職者がネコの子を下水溝だったか、マンホールだったかに投げ込んでいるのを見てショックをうけたと書いていた本を読んだことがあります。


 十数年前、作家、坂東真砂子は、飼いネコ(飼いイヌも)が生んだ不要な子を次々と崖下に捨てたことをエッセイで書いて、物議をかもしたことがありました。動物愛護団体から非難されました。信仰や倫理的な信念がからむとフランスの聖職者や坂東眞砂子の件は、いちがいに動物虐待だと割り切るのは難しい。


 訪日客に日本で見聞した「サプライズ」を尋ねるTV番組をみていたら、スイス人の女性は、日本のイヌが洋服を着ているのに驚いた。スイスでは、そんなことはしません。犬は犬です、としゃべってました。


 そう思います。ペットから喜び、愉しみ、癒し、安らぎ、たくさんのものをいっぱいもらいますが、それでもペットはペットです。炎上機からの脱出は、人間が先です。手荷物については、飼い主とともにいる場所、収容設備など、まだ検討の余地はありますが、人にも犬猫にもいい環境が用意できるのなら、いいと考えますね。



      気をつけよう、汚染水と自公維国!!

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