退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

ことしもダメ虎 !? 

 今年も愛する阪神タイガースの優勝は、絶望ですね。


  ちょっと早いですが、そう思いますね。毎年、毎年負ける。2リーグ(1950年)になって最後に優勝したのは、遠く15年まえのことです。どんだけ負け続けるのか。


  不憫なので、いまではデキの悪い子ほど可愛いい。そんな慈愛に満ちた母親のような気分で見守っていますが。


 さて、”伝統の一戦”といわれる対巨人戦は、すでに2勝8敗、大きく負け越して、ただいま1位の巨人と4位の阪神とはゲーム差6・5になっています。(8月25日現在)


 なんと8敗のうち2度も3連敗を重ねています。彼我の差は歴然です。今年はコロナ禍のせいで公式試合数は20試合も少ない120試合です。クライマックスシリーズもありません、挽回の余地はありそうもない。


 まだ1リーグ制だったこどものころ、タイガースファンになりました。駄菓子屋でアメを買うと、中に「当たり」が入っていたら、名刺サイズの選手のプロマイドをくれます。古くからのフアンならご存じの若林投手、土井垣捕手、藤村三塁手、本堂二塁手、呉中堅手、別当右翼手らの雄姿です。


 ボール紙に印刷した粗雑なものでしたが、小遣いでせっせと通い詰めたのは「大当たり」が出ると、いまで言うA4サイズくらいの大きなプロマイドがもらえます。これが、欲しかったなあ。


 老いて腰を痛め山歩きができなくなると、毎年春季キャンプ地に戦力事情を視察と称して高知・安芸球場、その後は移った沖縄・宜野座村の村営球場に通いました。


 真弓、和田、金本監督時代には欠かさず行き、スタンドでビールを飲みながら練習風景を観察したものです。いい新人が入れば、この目で確かめる楽しみがひときわでしたが、阪神は、なぜか有能な新人をつぶしてしまう球団です。


 今年は選手のユニホームの左袖に「85」という数字が縫い付けてあります。球団創設いらいの周年です。巨人に次ぐ老舗にも関わらず。2リーグ分裂(1950年)の優勝回数は5回、日本一はわずか1回という始末。つまり、ならすと14年間に一度しか優勝しません、 (ちなみに巨人は優勝37回、日本一22回。分裂後に誕生した広島は優勝8回、日本一3回)


 ”伝統の一戦”というのは、一部の熱狂的ファンはじめ球団とマスコミの過剰な煽りたてにすぎず、内実は、実力拮抗どころか、ただ古いチーム同士の対戦というだけの価値しか備わっていないのです。(通算成績は823勝1074敗71分)


 心からの阪神フアンがいます。友人夫婦は大のフアンで阪神が負けたら、奥さんが不機嫌になり口も利かない、翌朝の準備もしないでフテ寝します。知人は勝った試合を見たとき寝転んでいた姿勢が良かったからだと縁起をかつぎ、翌日も同じ姿勢でTV観戦します。ある先輩は、スコアブックを自らつけて試合内容を検討し、対策を練ります。



 古い話ですが、1985年、吉田監督のときにナイターで優勝した一瞬、職場の先輩は社内を嬉し泣きしながら駆け回っていました。ぼくは、胴上げされる吉田監督の写真をいまも壁に飾っています。


 阪神は本当は弱いのに、巨人を凌駕するほど人気チームであるのは、分裂(1950年)後,南海、近鉄、阪急など関西の電鉄会社系がパ・リーグに固まり、阪神はセ・リーグで唯一のチームになったこと、スポーツ紙や夕刊紙やTV局がタイガース選手を実力以上に話題を大々的に報じること、戦力補強に汚い手を打つ金権巨人へのカウンター意識、この三つが要因ではないかな。


 そして、怪しからんのは、人気チームであるがゆえに球団経営が比較的ラクとあって、球団そのものに優勝への執着がないこと。常勝を信条とする巨人との違いです。


 かつてあと1勝で優勝という試合まえに球団代表と常務が「勝たなくいい」」と囁いたことを、登板した江夏投手が、のちにばらしました。野村監督もフロントから「巨人と争い、2位になればいい。優勝するとカネがかかる」と言われ、驚いたとエピソードを話しています。この奇怪な体質がタイガースの闇です。(注1)フアンの熱意を裏切る球団ですね。


 さらに、いまも「ミスタータイガース」といわれる藤村監督を選手と球団が排斥運動をして追放したように、歴代の監督と選手、球団との内紛が付きもので、それがあってか阪神の監督は、コロコロ変わります。


 阪神は、こういうヘンな球団とはいうことがわかっているのですが、フアンをやめた、とならないのは、子どものころからの強い愛着があるからです。


 タイガースが試合に勝って、声高らかに歌う『六甲おろし』を聞くのは、何物にも代えがたい喜びです。とくに巨人を相手に勝ちゲームを進めているのをみるのは、最高の愉しみです。


 フアン心理というのは、妙なものです。それにしても、 タイガースが優勝する感激を余生のうちに味わえるかどうか。ムリかな。




注1 『阪神タイガースの正体』井上章一(朝日文庫)が詳しい。

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