退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

3.11  マイその後

 「あの日、あの時、あなたは、どこで何をしてましたか」


 10年前、東日本大震災が起きた日のことをはっきり記憶しています。ぼくは連れ合いと大阪・奈良府県境にある金剛山(1125m)に登り、下山の途中でした。水越峠に通じる長い林道ガンドガコバ線を歩いているときでした。


 30メートルほど前を歩く単独i行の男性が、突然歩きを止めて、携帯を耳に当てながら、足をバタバタさせて落ち着かない様子。近づくと男性は動揺を隠せず、話しかけてきました。


 「えらいこっちゃ、東北でどでかい地震があったというてますよ。わー、なんちゅうことや、息子がいま東北方面に出張中でんねん」


 男性の心配ぶりに驚きながら、一方では「東北は、はるか遠いなあ」と実感を伴わず、安堵感もありました。しかし、帰宅してテレビをつけてみたら、大津波のすさまじい映像が流れていて、仰天しました。


 東北の大地震と聞いても、その数年前の阪神淡路大震災を経験したものには、あのときのような破壊的な壊滅状態にならないだろうとタカをくったのは、まったくの認識不足でした。


 大津波が東京電力福島第一原子力発電所を襲い、チェルノブイリ原発事故を凌ぐ世界史にのこる大惨事を引き起こしたのです。現在も廃炉の道筋さえ決めかねる最悪の負の遺産になっています。


 地震も津波も「天災」ですが、原発事故は「人災」です。国も各電力会社もことごとく言い募っていた「安全神話」が崩壊した瞬間でした、いまもって当事者たちは、放射性物質に伴う被災状況と、その後の救済措置について、十全な責任と補償を認めておらず、あろうことか各地の裁判所で「責任問題」を係争中です。


 ぼくと連れ合いは、いいトシでから、放射性物質に汚染された飲食物の摂取を重ねても被爆症状に露出するまえに寿命が来るでしょうが、乳幼児や成長期の子どもたち、妊娠出産可能の女性、働き盛りの人々に、これからどのような被爆被害が現れるか、おそろしいことです。


 政府はオリンピック開催を「フクシマ復興五輪」と誘致理由にウソをついたように、原発被爆についても「国策」に沿わないことは、すべて隠蔽されていると思っています。虚偽、改ざん、捏造などの平気で行う政府ですから、信頼できません。


 政府は被爆地は「着々と復興中」の姿勢を打ち出しています。その枠組みから外れる”不都合な真実”を認めようとしていません。汚染土や汚染水の処理問題、農水産物の汚染の事態、緩やか検査基準、健康被害の実情なんかで、おそらく国民に開示されていない隠蔽があると思います。


 さて、ぼくのフクシマ以後のことです。連れ合いとも相談して、東北地方とくに福島や茨城産の農水産物とその加工品はいっさい買わず、食せずを通しています。スーパーなどの買い物では必ず産地表記を確かめています。他府県産で間に合う選択の余地がありますので、不自由はありません。


 こういうことを書くことは、本当に申し訳ないことです。なんの罪もない被災者、生産者に対しては、ほんとうに気の毒だと思っていますが、同情心からの買い物すら辞めています。アベが提唱した「食べて応援」などという軽薄な話には乗りません。


 「風評被害」によって販売が伸びないと伝えられていますが、風評被害の根本的な原因は、おおかたの国民は政府の言うことに不信感をもっていることにあると考えます。本当のことが公開されていないと思う人が多いのです。不買を続けているのは、政府や東電に対する抗議のつもりです。


 実際、東北の放射性物質が飛たとみられる地域の飲食物を「安全基準を満たした」として販売を認めていることも解せません。諸外国では、いまなお、東北の農産物(一部の国は水産物も)を輸入禁止しています。そのことも知らない国民が大勢います。


 同盟国アメリカはフクシマ産の原乳、牛肉、猪肉やキャベツ,白菜、レタス、キノコ類など畑の幸、山の幸を何十種類も輸入規制しています。一時は規制国は最大54カ国に上りました。


 現在でも、ヨーロッパ(EU)さらに韓国や中国、マレーシアのような近隣諸国など15カ国・地域が東北産とくにフクシマ,イバラギ産の農産物について輸入規制をしています。


 国ごとに安全基準の物差しが多少異なるとはいえ、たとえば、アメリカ人、中国人にとって危険な食品は日本人にとっても危険であるはずです。日本国民には安全だとしている政府の姿勢は、意図的なものではないか。


 汚染問題は解決しているということを誇示するためであって、そのために多少に被害が出ても構わないとするの無謀な施策ではないか。ぼくは、そう疑っています。


 気になる方はは以下の農水省のホームページをご覧になってください。諸外国の輸入規制品の一覧があります。相手国がある話ですから、非開示にできないのでしょう。ぼくは、これらの諸国が完全に輸入規制を撤廃したら、そのとき慎重に東北産の幸を食べるつもりですが、おそらく生きている間にはムリではないかな。


 アメリカが輸入規制している食品は、農水省のホームページによれば、以下のコピーチャートにあります。               (文字が小さくてすみません)

 なお、輸入規制している諸外国一覧は、下記の見出しをチェックしてみてください。
    (urlの前にhttpsを追加してください)


原発事故によをる諸外国・地域の⾷品等の輸⼊規制の緩和・撤廃
://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_gaiyo_ja.pdf


原発事故による諸外国・地域の⾷品等の輸⼊規制緩和・撤廃の経緯
://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_keii_ja.pdf

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