退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

「ヨタ・ヘロ」世代の医療費

 「ヨタヨタ・ヘロヘロ期」という”造語”を知りました。


 70代後半から90代にかけての高齢者は「ヨタヨタ・ヘロヘロ期」にあると評論家でNPO法人理事長の樋口恵子さんが言っています。略して「ヨタ・ヘロ期」です。


 「ピンピンコロり」、さらにその変形の「ピンピンヒラリ」を知っていますが、「ヨタ・ヘロ期」とは初耳。うーん、そう言われてみれば、ぼくも、しっかりヨタヘロ人間なんだ!!


 いま政府は75才以上の医療費の窓口負担を現行の1割から2割の引き上げる「医療制度改革関連法案」なるものを今国会で成立を目ざしています。年収が単身者で200万円以上、夫婦世帯で320万円以上が対象者とされています。


 それについて樋口さんが新聞に述べている意見に、「ヨタヨタ・へロへロ期」という表現がありました。まったく厳しい。ストレ‐トな表現です。     (4/29付 毎日新聞)
  
 確かに街やスーパーでみかける後期高齢者のなかには、多くは足腰が弱く、補助車に頼り、あるいは杖に頼り、それでもヨチヨチというか、伝い歩きのような高齢者がいて、同情に耐えません。その高齢者たちに政府は医療費の窓口負担を2倍に押し付けようとしています。


 ぼくと連れ合いが昨年に払った医療費は約31万円です。二度の腸閉塞の入院、連れ合いの胃がんによる二度の入院のほかに種々の成人病代です。これが2倍となると、「高額療養費制度」(8万円くらい)に助けられても、そうとう痛い負担増は避けられません。


 昨年の後期高齢者保険料は二人あわせて、約19万円です。ほかにも介護保険料があります。医療関係の出費はおおきいのです。引き上げられると、生活は苦しくなるのは目に見えています。


 2倍引き上げ案は「ヨタ・ヘロ期」の高齢者を足払いするような非情な施策ではありませんか。スカタンの冷たい三白眼が浮んできます。


 政府の言い分は、いまの制度では公費負担5割、現役支援4割、高齢者1割だそうです。これを世代間の公平負担に改めたいといいます。しかし、2割負担にすると、現役世代の負担金の総額が約720億円軽くなるといいますが、一人当たりで言えば、年間350円、月当たり35円の軽減にすぎません。


 今の後期高齢者の世代も現役であるとき、先人たちを支えてきたのです。現役世代もいずれ後期高齢者になります。爺さん婆さんの面倒を見るのがイヤ、350円負担を減らしたいと現役世代は望んでいますか。高齢者国家の社会保障制度を、途中でルール変更するのは、おかしい。


 これは現役世代の意向というより、「自助」を言いつのるスカ政権の社会保障費削減計画の一環です。公費負担を惜しんでいるのです。アベ・スカ政権は、一般国民の生活をできるだけ面倒みない一方、富裕層と大企業を守る政権です。


 年金生活者がほとんどの高齢者から一律2倍取ることになれば、高齢者は自衛に走り、我慢に我慢、自己診断して医者にかかることを控えるでしょう。これが、世界一の長寿国の「健康で安全」な国民のありようですか。


 ことしは総選挙があります。窓口負担引き上げ反対の声が強まれば、高齢者の一票を無視できません。みんなして医者通いを減らせば、高齢者の待合室と化している医院は閑古鳥が鳴き、悲鳴をあげます。医師会も動きます。反対の声をあげれば、賢明な政府なら、再検討するに違いありません。

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