退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

カセットテープ

 デンマーク・アカデミー賞をもらった映画『罪と女王』をDVDで見ていたら、主人公の18才の少年が、趣味でカセットテープを入れて携帯録音機を使っている場面が現れて、驚きました。映画は、たいへん刺激的な内容ですが、カセットテープにもびっくり。


                   (カセットテープは、Google画像検索から引用
  
 現代の社会を描いているのに、少年がカセットテープを使っているのが、当たり前のように描かれています。驚きとともに、大変なつかしさを覚えました。いまどきの日本の若い人は、カセットテープそのものを知らないかもしれませんが、ぼくの若いころは、音をコピーできる素晴らしい文明の利器でした。


 当時は個人が自由に録音できるようなものはありません。ラジオやテレビで好きな音楽を聴こうと思えば、その放送時刻にラテ(ラジオ・テレビの略)の前にいなければ、聞けなかったし、お気に入りだからといって、コピーすることもできませんでした。


 ですから、少年のころから聞いた帆足まり子の「S盤アワー」や「L盤アワー」、あるいは城達也の「ジェットストリーム」などの音楽番組を録音できるカセットテープが1969年(昭和43年 TDK)に誕生したときは、その便利さに驚喜しました。


 数ある曲を各番組から好きなものだけ録音し、自作のレーベルを張ってマイ・コレクションを作ることもできたし、持ち歩くこともできるようになりました。これは、その後、ソニーが世界を席巻したウオークマンの下地になりました 


 カセットテープが使えるようになってから、休日にはラテ番組表から,お目当ての音楽番組を探し録音したもので、この趣味を「エアチェック」と呼ばれて、熱中していました。その愛好者むけの雑誌もありました。


 その後、記憶媒体はMD,CD,メモリースチック、DVD,USBなどと進化発展して、著作権問題を抜きにして言えば、自分でコピーを取ることは、”当たり前田のクラッカー”となりました。カセットテープは、もうとっくに昔語りの遺物となった観があります。


 デンマークでは今でも愛用されているのかと思い、ググってみると、ヨーロッパではまだ根強い人気があるようです。改良されたカセットテープが利用されているそうだ。ICレコーダー(ボイスレコダー)なんかよりもアナログ感の音質が好まれたり、Bluetooth対応できたり、扱いも簡便になっているらしい


 映画を見てから家探ししましたら、出るわ出るわ、あのころ、せっせと録音した「マイ、ミュージック・コレクション」のテープがありました。同時にMDやCDに録音したものもいっぱいありましたね。あれを集中して作成していたエネルギーはなんだったのかな。


 いまは、この手のことはTV番組を含めて、やっていません。録音しても、再生する時間が、この老先あまりないからです。IPODにため込んだ1000曲以上の曲も、じっさいに聴くのは、だいたい好みの30曲くらいかな。


 東京都知事選に担がれて出馬、落ちた元の職場の二年後輩は、闘病記のなかで自分の葬送曲はモーツアルトの交響曲第40番がいいと書いていますが、そうかなあ、彼は酒席ではよく民謡を歌っていた。民謡の方がよく似合うと思います。


 ぼくなら、『アンチェインド・メロディ』でいいかなと思いましたが、これならiPODに収めてあります。しかし、少年の日に感動したアカデミー賞映画『地上より永遠に』(1953年)でモンゴメリー・クリフトが同僚の無残な死を悼み吹く鎮魂ラッパ「TAPS タップス」を流してほしいとも迷います。


 その場面、YOUTUBEで探してみたら、ありました。YOUTUBEはすごいなあ。カセットテープの出る幕はほんとうにない。


 米軍の伝統的な消灯ラッパでもあるのが気にくわないが、楽曲に罪ない。こころにしみる切ない楽曲が胸を打ちます。ケネディ大統領の葬儀にも使われていました。


 余談ながら、ニニ・ロッソの名曲『夜空のトランペット』は、制作年(1964年)からみて、『TAPS』にインスパイヤされたものらしい。出だしがそっくりさん、です。





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