退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

草取り

 梅雨の晴れ間の三日間、菜園の草取りに没頭しました。


 今年から借りた農園。何年か借り手がなくて放置してあったので、少々耕しても次から次と雑草が生えてきます。梅雨に入ると、一日で草ぼうぼうという風景になりますので、本腰を入れて、一本一本根っこから抜きました。


 片膝にスポンジみたいなサポーターを当てて、しゃがみこみます。皮膚をやられないように長袖のシャツ、野球帽をかぶり、首にタオルをまいていますので、格好は一人前の農業者みたい。陽が高くなるにつれ、暑くてたまりません。まるで、バツゲームのようです。


 草取りといえば、いやなスポ根 (スポーツマン根性の略か)の話を思い出します。広島で勤務したとき、県下で有数の野球の強い高校の先生から、「野球は精神力で勝つ」と自信に満ちた話を聞いて、内心呆れたことがあります。


 野球部員の生徒たちの精神力を鍛えるため、暑い日盛りのときにグラウンド周辺の草取りをやらすそうです。途中、どんなに汗かいても、水を飲まさず、区域を割り当てて一本一本きれいに抜きとるまで終わらせない。


 また、升の中に入れた小豆を一粒ごと数えさして「1000個あるかどうか、確かめろ」とノルマをあたえます。この集中力強化訓練がひどいのは、あらかじめ1~3個減らしておいて「1000個ありました」と申告する生徒を「ごまかすな」と叱り飛ばすのだそうだ。汚い手口です。


  まるで旧大日本帝国軍隊の兵隊いじめのような陰湿な訓練を自慢しているようでした。そんなことをして、本当に野球が強くなるのか。その不合理なやり方にぜんぜん気が付いていないどころか、伝統を誇りにしているふうです。


 ぼくの偏見かもしれませんが、小中高を通じて生徒として、たくさんの教員と接してきましたが、なかでも体育関係の教員は、元気のいいバカが多い感じをもっています。「脳筋」といって、アタマのなかまでコチコチの筋肉になってしまうのかも。


 思うに、女性蔑視発言でやめた前のオリパラ組織委会長のモリ‣キシロウとか、五輪強行開催の理由に「選手にとって一生に一度のこと」しか言えないJOC会長のヤマシタとか、「絆」とか「スポーツの力を信じる」と言いつのる五輪相、マルカワとかは、こんなスポ根風土が身についているのだろう。


 「絆」で強行してコロナ犠牲者が出たら、どう責任をとるのか。この国のエライさんたちは、事の不始末で責任を取った試しがない、そんな風土だから、とりあえずの口先だけの言い訳で開催をしようとすすめています。


 さて、草取りの最中、しょっちゅう水を飲みます。この水は、手作りの「経口補給水」です。アフリカの子どもたちの脱水症状や栄養不足を克服するためにユニセフ(国連児童基金)が推奨しているものです。作り方は簡単です。


1,1リットルの湯冷まし
2,砂糖小さじ6杯
3,塩小さじ半分
4,123をよく混ぜて完成。500ミリリットルなら砂糖、塩を半量に。お好みでレモンな
どで味付けしてもよいのです。ふだんでも手作りしておくと、冷蔵庫に入れておくと、役に立ちます。


 市販のスポーツドリンクと同様の効果があります。ユニセフの活動に参加していたころ、覚えました。一口飲んで、周囲の畑を見渡します。きれいな畝にトマトやキュウリのネット付きの支柱を巧みに立てていたり、なんという肥料を与えてれば、あんなに緑濃く育つのか。畑を見れば、耕作経験者かどうか、すぐにわかります。畑づくりも、まず土づくりからですね。


 手に技術を持っている人は、ほんとうにえらい。農業者や大工さんや石工さん,和紙づくりや豆腐さんたちの職人さんが、黙々と見事に精緻なモノを無から生み出す技術に感心します。口先人間と対極にある誠実な生き方です。


 サルは木から落ちてもサルですが、サラリーマンは、卒業すれば、ただの人です。いまさら、無為徒食を嘆いても仕方がありませんので、この先、どのくらい残り時間があるかわかりませんが、せめて草取りくらいは、地に足つけて頑張ろうと思います。


 トマト作り 熟するころは 陰の人      なんちゃって、、、。

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