退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

散髪屋さん

 後ろ髪が伸びたので、散髪に行きました。


 もうほとんど前もてっぺんもないのですが、なぜか後頭部にだけで白髪交じり生えています。それだけなら、いくらでも伸びてもいいと思っていますけれど、これまた、なぜか凄い巻き毛なのです。いわゆる天パ、くしゃくしゃです。


 日本人はどこから来たか、という問いには3説あります。ロシアの千島列島・カラフト方面、中国・朝鮮半島方面、それと南方・台湾方面から、です。まあ、いまの日本人は、その混合系がいちばん多く存在してるのでしょうが、ぼくは顔つき、皮膚の色、髪の毛、短い手足などからすれば、これはまごうことなく、南方・台湾系じゃなかな。


 散髪屋さんに行くと、たいてい、くせ毛ですねといわれます。ほめているわけでも、くさしているわけでもないのだが、どうも、ひがみ根性からか、やりにくい頭だなと思われているように思って、いやでした。若い時の話です。


 頭に秋風が吹くようになっていらい、いろんな養毛剤をふりかけ、こすりましたが、鏡に向かう時間が長くなりました。その甲斐もなく、やがては額と頭の境界線が無くなりましたね。どんどん額が広くなりました。


 あのリ〇ップなるものも、発売当初から長く頼みにしましたが、ぼくには効きませんでした、しかるにCMに現れる”相棒”の男はずっと豊かな黒髪です。もともと豊かな髪の男ではなくて、ユル・ブリンナー(古いナ)とか、北海道のシンガーソングライターみたいな頭から始めて、どうですか、どんどん生えてきたでしょう!!というような養毛剤は、いまのところないようだ。


 髪の毛が薄くなってからは、年金生活者らしく1600円の「格安カット」ですませていましたが、繁盛しているらしく、チェーン店が増え、内装や設備がよくなってくると、しだいに値上げし、いまでは2500円の「中安カット」になってしまった。儲かると、値上げというのは、商業倫理に反するんじゃーあーりませんか。


 ちなみに、あのスカタンは、あの頭を月二回、一流ホテルで散髪し、合計約36、520円支払っているそうだ。カット、シャンプー、髭剃り込みの値段です。この額は国民年金受給者の満額ケース、月額65、000円のほぼ半分です。


 ご本人は言い出した「ガースー」と呼ばれたいのなら、それくらいの庶民感覚をもって、駅前の1000円カットにでも通い、「安心・安全」か「五輪マーク」を刈り込んこんでもらえば、少しは国民の人気もでるかもね。出るわけないか。


 「中安カット」に行くと、いつもハサミを入れてくれるお兄さんと、前回からの話の続きになります。彼は30代前半ですが、長く付き合っている女性がいるのです。今回の話では、めでたく、その女性と結婚したと言います。14才年上だと言います。


「すると、40代後半かな。失礼ながら、お相手さんは初めて?」
「そうですよ。いろいろ事情があったらしいです」
「ほう、どんな事情があったんかな」
「よう聞いてないんですが、そのせいか、あんまり料理ができないんです。あんたも作ってくれというので、この間、ベーコン入りのスクランブル・エッグを作ってやったら、感心してました。ひとりもんが長いので、そのくらいできるんですよ。ぼくは」
「ほう、たのしそうやね」
「あんただけ働かしたら、アカン言うて、このあいだハローワークに行きましたので、ついていきました」
「新婚で、もう仕事探しか、エライ感心なお嫁さんやなあ」
「ありがとうございます」


 なにやら頼りなさげだが、いまどき珍しい、けなげな話。昭和の「神田川」みたいな感じがしないでもない。まあ、こんな話が聴けるのだから、中安カットになってもいいか。

×

非ログインユーザーとして返信する