退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

シンプル イズ ベスト

 うちの電化製品が、この夏、相次いで故障します。まるで製品同士で口裏合わせたかように使えなくなりました。


 こういう偶然は実は偶然ではない。買った時期が似たような時期だから,悪くなるのも 重なるのでしょう。これまでも、重なるときがありました。モノ入りなことです。こうした現象は、電化製品の持続能力について、似たような脆弱性があるからだと思います。


 連れ合いとともに、60代、70代、80代と、こうした家電製品を買うたびに、「こんな製品を買うのはこれで終わり、今生のおしまいだろうな」などと冗談を言ってますが、結局、壊れたら都合しなければなりません。


 今夏は、エアコンがまず反応しなくなりました。4月ごろまで暖房が機嫌よく利いていたのに、この始末。老体がエアコンなしで夏を乗り切れるわけはないので、量販店でなるべく安く、単純な機能のものを見繕いました。  


 もう電源を切ったあとも、延々とお掃除機能が活動しているようなものは不要です。空気洗浄なんかも不要です。ふつうの空気で十分呼吸できています。


 ついで掃除機。充電式クリーナーで、コードレスで軽い。最初、スーパーの作業員が使っているのをみて、これこれと買ったのは6年ほどまえか。クルマ付きの重いものを持ち運ぶのが苦痛になっていたので、重宝しましたが、やはりバッテリーの消耗が早い。


 本体につきものの消耗品の方で稼ぐ仕組みの商品はコピー機やプリンターはじめ多々ありますが、あれに比べればマシなほうか。そう思いながら、手軽さに負けて、バッテリー容量の大きいのを買い直しました。反省がたりない。


 そして、FAXつき電話。受話器を取り上げても鳴り続ける異常具合に呆れ、ヒマを出すことにした。ネット全盛なのに、いまどきFAXを使っているのは、日本だけだという話があります。うちは、その典型か。


 しかし、孫が小さいとき、毎夜のように、これで手紙やナゾナゾなんかしょっちゅうやりとりして楽しみました。いまはネット付きのFAXもあります。が、ネットには縁遠い連れ合いの貴重な買い物ツールだから、簡単操作のものを選びました。


 形あるものは、必ず壊れます。電化製品は、メーカーによって、若干ことなりますが、製造を打ち切ってから補修部品をFAXなら5年、掃除機6年、カラーTVやステレオ8年、冷蔵庫9年間と保存し、顧客の要望に応えることになっています。


 工業製品にしては短いように思います。季節商品のファッションではあるまいし、夏冬モデルなどと切り替える商習慣があると、マイナーチェンジに追われ、長持ちしないものに決まっています。


 補修部品の保存とはいえ、いまどきの製品は一つ一つの部品ではなくて、いくつかの部品がパックで作られているため、修理代がバカにならない。修理するくらいなら、新しい商品がちょっとの上積みで買えますよ、というセールストークに悩まされます。


 考えてみれば、わが人生は十代後半のころから大量生産,大量消費の経済システムに巻き込まれ、大量廃棄の片棒を担いできました。住宅のような建造物はじめ、日本の製品は、スクラップ&ビルド、壊しちゃ作り、作っちゃ壊しの目まぐるしい回転で経済をのばしてきました。一生モノを作るという矜持なんか眼中にないのです。


「粗大ごみの日」にごみ集積場まで運ぶますと、グレタさんが怒っているだろうなと申しわけない気持ちになります。


 自戒をこめての話で恐縮ですが、社会の仕組みも、人生も、暮らしも、できるだけ,シンプル イズ ベスト がいいと思います。レンジなんか、うちの場合、温めるしか使ってないのです。単機能で十分なんです。


 家電製品なんかみると、もう技術的には成熟しており、あとはどうでもいい付加価値、不必要な彩りをつけ加えるばかり。そのうえ、パソコンでもそうですが、4,5年すると、必ずダメになります。まるで時限の自壊装置が組み込まれているみたい。買い替え需要を促すための仕掛けではないかと疑わしい気持ちになります。


 こんなやり方で経済を回していたら、グレタさんならずとも、温暖化の懸念は、当然です。製造物責任に、たとえば、家電製品は「耐久15年」、「耐久20年」というような持続時間を課すとともに、そういう商品には税制面でも優遇する、融資面で特別な扱いをするといったような思い切った国家的施策を打ち出さないと、地球資源のムダ遣いは止まらないでしょうね。 


 ぼくたちは、流されてきたが、次世代は、そうはいかない。グレタさんの思いは、世界共通の課題ですね。

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