退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

怖い話3題

 夏の夜は怖い話がつきものです。怪談師、稲村淳二さんには及びませんが、三つばかりご披露しましょう。


その1,近所で、いつも評判の夫婦喧嘩が、その日からピタリとやみました。


 朝から、怒鳴り合い、「出て行け」「なんだと?」、モノを投げる音が響く派手な喧嘩続きでした。ご主人はやせ型、おくさんは太め。よくある夫婦タイプなのに、相性がわるいらしい。


 ご近所の主婦たちはクビをかしげて、「最近、しずかね」、「奥さんいるのかしら」「ご主人は、いるみたいですよ」と言って含み笑いをかわしていました。


 静かになった六日後の土曜の朝、その家からステーキを焼く猛烈な匂いがあたりに立ち込めました。遅い昼も漂う焼き肉の香り。夜は、あきらかにすき焼きの様子です。


 日曜の昼、友人三、四人を呼んだらしく、にぎやかに焼き肉パーティを開いています。男ばかりの笑い声が騒がしかった。


 
その2、商店街のはずれにある時計屋のご主人が絞殺されました。


 ショーウィンドウに古臭いモデルの商品をならべ、底の厚い独特のメガネをかけて、修理に打ち込んでいるご主人の姿を、通りすがり人はみんな知っていました。


 独り暮らし、実直な性格、昔ながらの職人と思われてました。ところが、です。知り合いの捜査員の、(ここだけの話によると)、そのご主人は、裏ではこっそり小口の高利貸しをやっていたという聞き込みがありました。


「借り手は??」
「元手が少ないから、小銭を融通するくらい。だから、遊ぶ金欲しさの連中とか、家計に困った主婦に融通してたらしい」
「じゃあ、返財を迫られての犯行?」
 色恋のもつれはないし、荒らされた跡もないらしい。
「ただしやな、こっちが探してるもんがみつからん」
「なんですか」
「決まってるやろ、貸付ノートみたいのが、あるはずやろ」


 後日、また捜査員の話です。
「どこか弱いやんね。締め具合に力がないやんね。ヒモの両端についてるDNAが違うんだな」
 そう言って捜査員は、ぎゅっと絞めるしぐさをしました。
「うーん、犯人は主婦二人?」



 その3 


 政権与党の幹部、2Fやら5人が、”ご法度”の会食がばれて、いいわけしました。「黙食」での打ち合わせで「会食」ではない、と。それなら、なんも料理屋で会うことないでしょう。電話かメールで済むこと。


 われわれも、ばれたら、「黙食」だと言い逃れできることになりました。貴重な知恵を教えてくれました。さすが政権与党の面々です。


 で、もって、何を打ち合わせたかというと、これが問題です。そこそこ、もれ伝わってくる話なんですが、スカタンはあまりにも無能(今頃やっと気がついたか)、そのうえコロナ禍は、いまだにワクチンさえ自前で作れない日本国政府では、手に負えないとの見解で一致。もう、あとできることは何かを相談したらしい。


 そこで出たのは、「世界コロナ禍犠牲者大慰霊塔」とか「故呂奈神社」でもつくろうか、これなら「コロナと闘った証」として犠牲者五万人になろうと、十万人になろうと、国として「メンツが、保てるじゃん」と話が盛り上がったそうな。


 さらには、毎年、しかるべき会場で「追悼セレモニー」を行い、国民こぞって「故呂奈神社」にお参りしようという、「ポスト・コロナ禍」の話まででたらしい。


 正気とは思えないなあ。怖いですネ、怖いですネ、
 じゃあ、また 来週お会いしましょう。

×

非ログインユーザーとして返信する