退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

杞憂か「腐珍」か

 すこし暑いくらいの秋晴れが続きました。


 温暖化のせいで、春秋の季節はしだいに短くなり、いずれは夏冬だけか、年中、常夏の国になるかもしれません。そのずっと先は、灼熱の地球になり、人類は滅ぶかもしれません。人間の社会的活動が自縄自縛に陥り、復元不可能なケースです。




 宇宙からやってきた大隕石が衝突でもしない限り、もう一つ、人間の愚行があります。プーチンなる狂気の人物が、ウクライナ戦争で戦術核兵器を使用、その報復にアメリカおよびNATO核保有国が戦略核兵器で応酬したあと、地球は死の灰に覆われて、太陽光線が届かず、沈黙暗黒の世界となり、人類は自滅するかもしれません。


 戦術核兵器と戦略核兵器の違いは、航続距離とか破壊力とかの大小、使用目的とかで区別されていますが、区別はほとんど意味がありません。北朝鮮のミサイルに搭載できるのは戦術核、プーチンが、いまちらつかせているのも戦術核です。


 戦術核は、爆発破壊力が小さいと言われていますが、それでもヒロシマに投下された原爆の約5倍から10倍威力とのことですから、大都市が丸ごと壊滅するでしょう。一発、二発と応酬合戦があれば、広範囲にゴーストタウン化します。


 思い出すのは、60年まえ、1962年秋ののキューバ危機です。職場でも固唾をのんでケネディとフルシチョフの対決を見守っていて異様な雰囲気でした。ご存じのように旧ソ連がアメリカの奥座敷、キューバにひそかにミサイル発射基地を建設、首都ワシントンを射程に置いたのです。


 迎え撃つアメリカは、補給のソ連船団を海上封鎖して応戦、どちらかが一発でも核搭載のミサイルをぶっ放せは、地球終末の核戦争がはじまっていたのですが、ケネディが懸命にも米軍側のソ連向け核基地の撤去すると譲歩して惨事を回避しました。この作戦を誤っていたら、その後の世界と人類は消滅していた可能性があります。


 あのとき、アメリカ人のなかには、我れ先に食料品を車に積み込んでカナダを目指して逃げる人たちが殺到、人間の本性が露わになった歴史的な13日間でした。


 今回のプーチンの脅しが、脅しですむか。狂気の勝算をはじいて発射するか、やけくそのあまり全地球人を巻き添えにして心中する気なのか。ああ、おそろしや、プーチン心中!


 プーチンの核恫喝にアメリカや欧州は、強い態度で反発、屈しない姿勢を見せていますが、唯一の被爆国、キシダメの政権はノー天気なものです。かつて戦争を仕掛けた加害国なのに、被爆したことで「被害者ヅラ」していますが、それならそれで、積極的に国際平和に尽くしたらどうか。対岸の火事みたいに見ているばかり。情けない話です。。


 ここぞというとき、アメリカの方針にしたがうか、アメリカに伺いをたててからしか動けない日本。プーチンにも北朝鮮にも足元を見られていて、相手にされません。こんなときこそ、体を張って、その壊滅的脅威をもたらす核恫喝をやめろ、と直談判する気骨ある政治家が出てこないのか。出てこないだろうな。


 自民国防族は、北朝鮮やっつけろ、に異常に熱心で「反撃能力=敵基地攻撃能力」を持てと騒いでいますが、日本沿岸の54基もある原発をどう守るのか、ミサイル食らったら、どうなるのか。専守防衛の国是はどうなるのか。そんな懸念を無視して、むやみに敵愾心を煽り、吠えてるのは、無能な犬でしかない。扇動者のアヘがいなくなったのに、まだ吠えています。


 むかし、中国の杞という人が、いまにも天が落ちてくるのじゃないか、と心配して食事もとれず、夜も眠れなくなったという故事から、「杞憂=過度の取りこし苦労」という言葉が生まれました。


 いまならプーチンの「やるぞやるぞ核兵器」は、どんな言葉を後世に(後世があるとすれば)残すだろうか。


 脅しを繰り返すことについて、私案では「腐珍する」か、「不珍する」がいいかなと思います。「杞憂にすぎない」にならって、「腐珍に終わった」で、すむかどうか。


(イラストは、GOOGLE画像検索から引用しました)

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