退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

白内障手術

 右眼の白内障の手術をしました。世の中が妙にまぶしく、あるいは、かすんで見えて、明らかに視力も衰えていたのですが、術後は、世の中が白く、くっきり、はっきり、綺麗に見えて驚いています。


 驚いている理由は、もうひとつあります。16年前、同じ手術をした連れ合いの場合と、まるっきり手術の前と後のケアの違いです。連れ合いの場合、眼科医さんの紹介状をもらって、大きな病院に行くと、即手術、約30分後には眼帯をつけて出てきた。それで終わり。事前の説明もアフターケアもなにもなし、それっきりのことでした。


 ぼくの場合との違いが大きすぎて、連れ合いは、「私のころは、なんだったのかな」とあきれています。ぼくも7月中旬、眼科医さんの紹介状をもらって、大きな病院に行くと、診察の結果、11月上旬、手術予定となりました。患者が大勢で順番待ちなんです。


 手術に向かって、ある日、血液検査、胸部レントゲン、心電図検査。さらに一週間後には、その結果の確認と診察、他の患者さんと「白内障とは、どんな病気?!」のビデオ鑑賞、「一泊入院」についての説明を受けて、帰りに術前3日から一日三回さす目薬をもらいました。


 この事前の準備のどれ一つ、連れ合いにはなかった対応です。思うに、白内障手術にはひょっとしたら医療過誤が多いから、より慎重になったのか、あるいは、「日帰り手術」が当たりまえでは、ビジネス的には面白くないからか、より入念になったのかな。


 見せられたビデオでは、白内障は60代で70%、70代で80%、80代以上ほぼ100%なるという成人病だそうです。高齢化とともに自動的に患者が増えるわけです。増える患者さんは、いいビジネス対象か。そうと勘繰るのは、医療関係者に失礼極まる話なので、やはり、患者のコンディションを見極めて、より慎重な対応をするようになったものと理解しています。


 高齢者は、余生は短いが、一日の時間はたっぷりあるので、一泊入院するのは万一のことや後遺症のことを考えると、安心です。現役の方は、厄介なことでしょう。5日後に経過観察を受けに行きました。それにしても、術後一週間は、洗顔、洗髪、入浴禁止。一か月くらいは激しい運動、重い物を持ち上げるような行動も慎むように、実に丁寧なアドバスがありました。


 白内障の手術がまだの方に簡単に説明しますと、カメラのレンズに例えられる眼球の黒目があるところの水晶体という部分が濁って視力を劣化させる病気です。その水晶体を取り除き透明な眼内レンズに置き換えるわけです。「超音波水晶体乳化吸引術」という物々しい名前の術式です。


 局所麻酔されて、したがって執刀医らの会話を聞きながら、「さあ、これからの3分間は大事です。眼を動かさないで、まばたきしないで」と執刀医の声、続いて「眼にメスが入りますよ」と看護師さん。これで緊張が最高点に達します。眼を切り開き、濁った水晶体を砕いて、、、、その過程が全部耳に入りますし、まばたきをこらえて居る眼前にメタリックな赤や青や黄色がちかちかと浮かんで消えるのを見るのは、相当、怖かったですね。


 この結果、古いTVがけっこうきれいに見えてることや、久しぶり新聞活字の小さなフリガナも読めるようになりました。紅葉も一段と美しく、畑のニンジンン葉っぱは、実に緑が濃いことが分かりました。ありがたいことです。

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