退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

フクシマの魚

 老夫婦きりの我が家は、フクシマのサカナを食べません。あの大惨事があってからずっとスーパーでの買い物でも、宮城,福島の産地表示のないものを選んでいます。


 EU (欧州連合)は、13日の外電によると、フクシマと近隣10県の食品の放射性検査や食品規制を撤廃すると決めたといいます。記事だけでは、なんで、いま解禁したのかわかりません。


 日本人が、フクシマの農水産物をむしゃむしゃ食べている間、あの大惨事から12年間も欧州連合の国々では、フクシマの沖で揚がるヒラマサ, アジ、マダイ、マグロやキノコなどの輸入を禁止していました。つまり、フクシマ産は、食卓には上らせなかった。人体への影響を心配したからでしょう。


 放射性物質を少しでも含んでいれば、人体や環境への影響を考えて、規制するのが当然と思えますが、日本政府は、国内での規制に逃げ腰、日本人の胃は、放射性物質さえも消化すると考えているかもしれない。ひょっとすると、政府のある筋あたりは、内々に、どんな影響が現れるか、人体実験でもさせているのかもしれない。


 EUに限らず、韓国、中国、台湾、香港、インドネシアなどアジアの国と地域は、規制食品の種類が違っても、いまも日本からの輸入を規制、制限しています。それぞれの国の安全基準に違いがあったとしても、放射性物質の科学的な悪影響について、国によって、人種や民族によって、大きな差異があるとは思えない。人類共通のはずです。


 今回、IAEA(際原子力機関)によって、汚染水の放出について「安全」とのお墨付きをもらった政府は上機嫌ですが、IAEAは、国連の組織ではありません。アメリカが主導する任意の非政府機関で、中立でもありません。日本も運営資金を出しています。


 安全というのも、IAEAの基準に従えば安全、というお手盛りのものです。ですから、放出をお勧めも支持しませんと条件付きなんですが、政府は安全という言葉だけを切り取ってOKが出たと都合よく解しています。同盟国日本政府を困らせるような結論は出ないわけです。太平洋の真ん中にあるハワイ大学の米国人教授は、「IAEAはカネと政治にまけた」と批判しています。

(汚染水を貯めたタンクが1000基以上、林立するフクシマ原発内、GOOGLE画像検索から引用)


 汚染水のことですが、例えば100グラムの塩を水一杯のバケツに入れるのと、風呂に入れるのとでは、塩水の濃淡にありますが、塩の総量に変わりありません、汚染水が安全というのは濃度が薄くしただけの話で、放射性物質の総量には変わりありません。これが減衰せずに海中に溜まってゆくわけです。上の写真のように膨大な冷却水をためているのは、危険な汚染水だとわかっているからです。



(産業経済省のホームページから引用) ↑ 


 その処理するまえ、あのタンクに保管されている元の汚染水の放射性物質は、どれくらい危険なのか、それを示すベクレル(放射線の線量単位)はいかほどなのか、公開されていないのです。元の数値を示さず、処理しましたといわれ、はい、そうですか、と政府・東電を信頼できますか。


 もし安全なら経産大臣のニシムラやキシダメやアソウに飲んでもらったらどうでしょう。アセアン会議で中国の外交トップ、政治局員、王毅は「科学的な根拠を示せ、核汚染した水を流すのは例がない」と言っています。政治的立場を別にしても、正論じゃーないですか。


  さらに問題なのは、壊れた原子炉の中にある燃料デプリ(溶けた建物や放射性物質の堆積物)を安全に取り出せないのです。そこに冷却水をかけ続けていることは、当然、汚染水も出し続けているのです。燃料デプリを取り出せない限り続くのです。「少なくとも30年間は放出」(経産省のホームページ)といいます。


 IAEAのグロッシ事務局長は、「最後の一滴まで見届ける」とカッコをつけましたが、終わりが展望できないのに、なぜ最後の一滴と言えるのか。バカにするんじゃない。どうせ夜な夜な政府から接待漬けで、ホリデイ・イン・ジャパンを楽しんだのだろう。


 そのうえ、政府・東電の現在の関係者がいなくなる「30年間以上」も、政府・東電とIAEAの実務者が、誠実に滞りなく放出業務を遂行するとは信じられない。責任転嫁や下請けのまた孫請けがありそうです。そう疑いたくなる程、この件に対する政府・東電の態度は原発稼働に向けて不誠実な前のめりをしています。


 TVコメンテーターや経産省のホームページには、原子炉からの処理水は各国でも海に流しており、フクシマ原発から流す量は、それに比べると少ないと言っています。これはうそ、ごまかしです。


 各国が流している処理水は、正常運転している原子炉の水です。正常運転の処理水なら、日本国内の他の場所の原発も放出しています。世界各国、原発がおおむね海辺にあるのは、それが条件だからです。しかし、フクシマのは前例のないメルトダウン(炉心溶融)した事故原子炉から流す汚染水です。正常処理水と事故処理水を一緒くたに論じていけません。下世話に言えば、ミソもクソも一緒にするな、ということです。


 我が家では、あの大事故以来、フクシマの農水産物は敬遠しています。他府県のサカナを選んでいます。それでも不安です。海はどこまでもつながっているからです。フクシマの生産者、漁業者には、お気の毒ですが、買わない、食べないを続けています。小さいお子さんを育てている家庭では、そういう選択がいいかもしれません。将来、放射能物資に伴い疾病が現れても、政府は因果関係を否定するの違いありませんから。


 政府は、汚染水の放出を早めたくて、経産大臣のニシムラの尻を叩いて、地元漁業者らとの会談を重ねています。いまのところ、地元も全国漁連も放出反対を堅持しています。頑張ってほしいものです。おそらく、政府は巨額の賠償金または裏金をちらつかせて団結を崩そうとするでしょう。「最後はカネでしょ」といった元閣僚がいました。本音を言って、疎まれています。


 「フクシマの魚は食べない」。風評ではありません。こういう運動が全国的に広く拡散されると、地元の漁業者は困るのは目に見えています。そうした全国規模の不買運動が起これば、困った漁業者は、一掃激しく政府・東電に抗議を抗議の圧力をかけます。「自公政権の議員と東電幹部は、向こう10年、汚染水を飲んでくれたら、その結果を見て、漁連の対応を決める」くらい言うべきです。


 政府・東電が漁業者を懐柔する裏の手をあきらめて、放出を見合わすとか、汚染水の処理や原発そのものの安全性について特段の開発努力をするとかの、妥当な対策に転換することが期待されます。


 原発稼働は、手痛い打撃を国民はもとより、推進する政府・電力会社に与えるという教訓を肝に銘じさせることが大切です。歴史上、はじめての大きな大きな犠牲を払ったのですから、国民の命と健康を守るために、よくよく考えてほしいものです。


追記、危険でなければ、一キロ先の海中に放出する必要ないんじゃーあーりませんか。簡単明瞭な質問を国民と漁業者はするべきですね。

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