退屈な80代

還暦、古希、傘寿を過ぎて 日々思うことを綴ります。

エッセンシャル・ワーカー

 コロナ禍であまり聞きなれないカタカナで書く英単語が、いくつも現れました。その一つがエッセンシャル・ワーカーです。


 意味は「社会生活に不可決な職業、仕事につく人たち」というらしい。今回の事態、つまり「感染症拡散を防ぐ目的」に対応したエッセンシャル・ワーカーさんといえば、医療従事者たちを指しているのだろう。


 彼らが大変な状況で奮闘されていることには頭がさがります。コロナ禍は終息したら、政府は長めのバケーションや報酬をもってねぎらってあげるといい。


 しかし、エッセンシャル・ワーカーさんも、通勤するし、三度の飯を食うし、トイレも使う。衣類は洗濯するし、家族もアレコレ雑用をして支える。社会は目には見えない一つの大きな輪ですから、仕事に軽重の比はあっても、不要な仕事はない。


 なんですが、あなたの仕事は「生活には必要にない職業ないし仕事です」と区分けされるような仕事って、あるのか。エッセンシャル・ワーカーの定義というのは,はっきりしないが、バスや電車の運転手や、宅配便の配達員、農水産の従事者、郵便配達人やビルの清掃者さんらも、そうだという見方があります。当然だと思います。


 コロナ自粛に入る前、ドイツのメルケル首相は、自由がなかった東ドイツ出身であったせいか、感染症のためとはいえ、自由がやむなく制限することを悲しみ、スーパーのレジ打ちや配達員の人々も、みんなの生活を支えるためにがんばっていると感謝の言葉を述べて、国民に協力と理解を求めました。彼我の政治家の品格のちがいです。


 不可欠の職業人というような言葉を、この際、持ち出したのは、だれなのか。なんのために、持ち出したのかな。そういわれると、ぼくなんかもう、とっくに不要不急の人だし、社会のライフラインには納税以外はなんの寄与もしてない。


「役立たずで、はよう死ね」。むかしなら、悪たれの小僧に罵られていても、おかしくない。まあ、ひがみもあるかもしれないが、、、。


 めったにない非常事態になると、足並みを揃えない人を差別したり、糾弾したりして、足並みをそろえさせようとする手合いが跋扈します。頼まれもしないのに、進んで他府県の車に石を投げたり、嫌がらせの落書きを店舗に貼り付けていくバカがいます。識者は「同調圧力」といって、こうした風潮が強まることを警戒しています。


 なにが「不要不急」か、人さまざまで、決めつけられるものでない。どんな人が「エッセンシャル・ワーカー」か。少なくとも、国会のセンセイたちは、そうは思えない。

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